著者紹介
サミュエル・P・ハンティントン(著者):(Samuel Phillips Huntington、1927-2008年)
ニューヨーク市生まれ。1946年にイェール大学卒業、1951年にハーバード大学で博士号を取得。その後、長らくハーバード大学で教鞭をとった(1958-62年にはコロンビア大学に在籍)。また、カーター政権時の国家安全保障会議スタッフ(1977-78年)やアメリカ政治学会会長(1986-87年)もつとめた。研究は国際政治、アメリカ政治、比較政治の幅広い分野に及び、多くの業績を残している。本書のほか、翻訳されている主な著書に、『軍人と国家』上・下(市川良一訳、原書房、1978-79年)、『変革期社会の政治秩序』上・下(内山秀夫訳、サイマル出版会、1972年)、『文明の衝突』(鈴木主税訳、集英社、1998年)、『分断されるアメリカ――ナショナル・アイデンティティの危機』(鈴木主税訳、集英社、2004年)などがある。
川中 豪(翻訳):1966年生まれ。早稲田大学法学部卒。修士(法学)早稲田大学、博士(政治学)神戸大学。アジア経済研究所地域研究センター長を経て、現在、亜細亜大学国際関係学部教授・アジア経済研究所連携研究員。専門は、比較政治学、新興民主主義研究、政治制度論、東南アジア政治。主な著作に、Political Determinants of Income Inequalityin Emerging Democracies(with Yasushi Hazama,Springer, 2016)、『後退する民主主義、強化される権威主義──最良の政治制度とは何か』(編著、ミネルヴァ書房、2018年)、『教養の東南アジア現代史』(川村晃一との共編著、ミネルヴァ書房、2020年)、『競争と秩序──東南アジアにみる民主主義のジレンマ』(白水社、2022年)などがある。
内容
近年、民主主義を問い直す動きが急速に進んでいる。20世紀後半に進んだ民主化は、民主主義が標準的な政治体制となり、世界の隅々に行きわたることを期待させた。
しかし、21世紀を迎えてから、民主化したと見えた国が実は権威主義的な要素を多分に持っていることが明らかになったり、徐々に民主主義が侵食される事例が注目されるなど、民主主義の行方に暗雲が立ち込めている。
こうした状況のなかで、そもそも20世紀後半にもたらされた民主主義とは何だったのか、そして、その起点となる一連の民主化はどのようなものだったのかは関心の的となる。
20世紀後半の民主化の流れを「第三の波」と類型化し、体系的な分析をおこなったサミュエル・ハンティントンの本書は、出版から30年を経てもなお頻繁に引用される政治学の古典であり、民主主義をめぐる議論の出発点として、世界中で繰り返し人々が立ち返る参照点となっている。
しかし、残念なことに日本語での本書へのアクセスは長く制限されてきた。『文明の衝突』と並ぶ、ハンティントンの記念碑的著作を新訳で刊行!