内容
英米における「検閲と発禁」の問題を、具体的事例と作品とともに考察。 【第1部 イギリスにおける検閲と発禁】 イギリスの「検閲と発禁」の歴史(15世紀後半~ポルノ全盛の ヴィクトリア時代)を概観、初めて成立した「猥褻取締り」法律 (キャンベル法)の成立過程を詳細にたどる。 【第2部 政治・宗教・思想統制と発禁】 16、17世紀の演劇上演の一般民衆への影響を恐れる政治的な動きと、 18、19世紀の識字率の上昇を背景にした保守層と急進層の 出版をめぐる攻防を追う。 【第3部 猥褻と発禁】 20世紀における小説の猥褻性と芸術性の問題として、よく知られる D. H. ロレンス『チャタレー夫人の恋人』、 ジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』を検証する。 【第4部 アメリカにおける検閲と発禁】 徹底した不道徳排斥運動の歴史と二重基準の欺瞞性を 「コムストック法」を中心に再考、 また、チャップリンを取り上げ、 アメリカの思想統制(レッド・パージ)の歴史を追う。