オープンダイアローグ私たちはこうしている
森川 すいめい 著
著者紹介
内容
目次
はじめに 序章 オープンダイアローグはこうして生まれた 診断と治療だけでは助けにならなかった オープンダイアローグの根源 ケロプダスがオープンダイアローグを知らなかった頃 オープンダイアローグが生まれた日 Need-Adapted Treatmentと何が違うのか ビルギッタの一言 ゴールは「対話そのもの」 医学から対話へ まずは病棟で話を聞くことから 話したい場所で聞く 最初の調査 オープンダイアローグは1日で誕生する Column 「私たちのやり方を真似しないでください」 第1章 ふたつの土台 実際の「対話セッション」の様子 1 1 その人のいないところでその人の話をしない 申し送りも相談も「その人のいるところで」 「支援する/される」という力関係が対話を阻害する 困っているそのスタッフが「本人」 子どものことで相談している家族が「本人」 2 1対1で話さない―専門スタッフは2名以上 専門職の意見が一致しないことが大切 ひとりで対話をする工夫―私のやり方 Column 7つの原則をどう考えるか 第2章 つねに意識しておきたいこと 1 一人ひとりが特別 「接遇」以前のこととして 話す機会を公平にする 優劣のない関係性を守る 「現場で決めていけないこと」だけを決める 垂直の関係性を意識する 相手の考えはつねに自分の理解を超えている 「理解しようとする」態度そのものが助けになる 2 ポリフォニーを意識する 不安が声を押さえ込んでしまう 自分の楽器を持ってジャズのセッションに参加する スタッフもまたひとりの奏者として 3 不確かさの中に留まる すぐに答えに飛びつかない こう言って不確かさに留まる―私のやり方 プロセスを信頼する 4 透明性を保つ 自分がどう思ったか話す「責任」が専門職にはある 質問さえ脅威になる リフレクティングと透明性 専門職がひとりのときにはどうするか Column 話すスペースをつくる 第3章 対話の場を設定する 1 いつ行うか 即時に応答する 電話を受けることに集中できる体制をつくる 電話口にはシフト表―その場で決める 2 誰を招くか 招待するという感覚 4つの質問をしてみる―ソーシャルネットワークが見えてくる 最初から参加も、途中から参加も 対話の場に医師が参加することは少ない 担当スタッフはずっと同じ 3 準備はしない 事前の打ち合わせ、事後のカンファレンスはしない すべては「その場」で考える 「いないところで話す」必要があったらどうするか 対話中はメモをとらない 4 どこに座るか 本人が話したいと思う場所にする 輪になって話す 座る席を選んでもらう 5 時間はどうする 60分でさえ難しい…… 対話のあとに対話が続くことが大事 必要があれば連日開く 時間差で対話する Column 精神科訪問看護を利用してみよう 第4章 セッションを始めよう! 1 オープニング チェックインを確認する 自己紹介を2回するくらいのていねいさ 対話の場を温めるための準備運動 最初に経緯と期待を聞く 2回目以降はどう聞くか―私のやり方 2 全員の声を聞く なぜ全員に聞くのか それぞれの必然性に従った「公平」 ひとりで話したいと言われたら―私のやり方 3 リフレクティング 4 クロージング 細心の注意が必要 最初に終わりの時間を確認する 残り15分でどうするか 最後は本人たちの声で終える むずかしい対話場面の終え方 次を決めることでチェックアウト Column 統合失調症の患者数はさらに減る 第5章 対話を促進させる工夫 1 話すことと聞くことを分ける たとえばこんな言い方をする 話す順番の決め方 誰が話者なのかを明確に示す 2 話したいことを話せるように 臨床でよくある場面 ジャッジされたら二度と話さなくなる 話したいことと話したことは違うかもしれない 話を聞くことで精神状態が不安定になるとは? 3 話し手が自分の声を聞くのを助ける 話していることをいちばん聞いている人は誰か? 間(マ)にはさまざまなものが生まれる 沈黙に戸惑ったら聞けばいい 聞いたことを繰り返してみる 4 精神医学的問題をどう扱うか 診断名はいったん脇に置く 妄想は結果 最初の3回は抗精神病薬を処方しない ケロプダス病院での薬の位置づけ 抗精神病薬をやめるときは慎重に 睡眠薬は最初から数日間処方することがある 「そのように感じたのはいつからですか?」 Column 暮らす場所によって薬の量は変わる 第6章 リフレクティングを身につける 実際の「対話セッション」の様子 2 1 リフレクティングはなぜ必要なのか 専門職の意見は聞きたいが…… リフレクティングという工夫 2 リフレクティングの基本的な考え方 内的会話と外的会話 「話す」と「聞く」を構造的に分ける 3 リフレクティングに役立つ小さな工夫 やってはいけないこと アバウトネスではなくウィズネスで 話された言葉をそのまま使う 話されなかったことは話さない ちょうどよい差異を意識する リフレクティングチームの話は短めに 参加者は聞いていなくてもいい 2回目の中断があったらリフレクティングはやめる 視線は合わせない 4 リフレクティングの始め方と終え方 始めるタイミングは? ていねいな言葉で始める 本人たちの声で終わる Column あるリフレクティング 第7章 対話的な組織になるために 1 対等に対話をする試み 先生と呼ぶのをやめてもらった スタッフ間での会議を対話的にした 私自身が対話のトレーニングを行った 2 組織としてのチャレンジ 仲間づくり 対話トレーニングプログラムをつくった 話し合い続ける Tolerance of Uncertainty(あきらめない) Column 1回目は意思決定をしない会議 おわりに 著者紹介