従来、欧米の言語学研究はインド・ヨーロッパ語族、特に英語に焦点が当てられ、日本語や中国語は理論的発展の中で研究対象とされることが少なかったと言えます。しかし、学者達が日本語に注目し始めると、日本語とインド・ヨーロッパ語の間に見られる類似・相違点が、言語の類型論上のバリエーションを多数明らかにしました。また、言語の基本的な性質のさらに正確な構図を解明する手がかりとなりました。
　過去40年間に日本語の言語学研究は、言語科学・認知科学の知的・科学的探求や、社会文化発展の研究、より一般的には人文科学の発展に大きく貢献してきました。
この批評論文集成には、特に日本語に関する言語学研究の発展の中で画期をなす論文がモノグラフ、単行本、雑誌から集められています。収録されている各論文は総体として、幅広い言語学分野に対する形式的アプローチと機能的アプローチを提供いたします。