KNOWLEDGE WORKER ナレッジワーカー



書評掲載

サメと救世主

カワイ・ストロング・ウォッシュバーン  著

日野原慶  編
在庫状況 お取り寄せ  お届け予定日 10日間 
価格 \2,640(税込)         
発行年月 2024年03月
出版社/提供元
書肆侃侃房
言語 日本語
媒体 冊子
ページ数/巻数 419p
大きさ 19cm
ジャンル 和書/人文科学/文学/イギリス文学
ISBN 9784863856165
商品コード 1038227888
NDC分類 933.7
書評掲載誌 読売新聞 2024/05/26
商品URLhttps://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1038227888

著者紹介

カワイ・ストロング・ウォッシュバーン(著者):ハワイ島のハマクアコーストに生まれ育つ。2020年出版の『サメと救世主』により、PEN/Hemingway Award for Debut NovelとMinnesota Book Awardを2021年に受賞。現在は、ミネアポリス在住。
日野原慶(編者):大東文化大学にてアメリカ文学を教えている。共訳書にモナ・アワド『ファットガールをめぐる13 の物語』、共著に『現代アメリカ文学ポップコーン大盛』(ともに書肆侃侃房)。

内容

サメに救われた少年には奇跡の力が宿りはじめる。これは真実か、ただのイカサマか?

ハワイで生まれ育った注目の作家によるデビュー長編!

はじまりは1995年。ハワイ島に暮らすフローレス家は、「豊かな」生活を求めて、オアフ島を目指す。そのさなか、息子のナイノアが海に落ち、サメによって助けだされる。サメに救われた少年には、奇跡の力が宿りはじめる。これは真実か、あるいはただのイカサマか?

こうして家族の未来は大きなうねりに巻きこまれる。時を2000年以後に移して、描きだされるのは、楽園ではないハワイ。それは現代の豊かさをめぐるアメリカの矛盾、世界の矛盾を映しだす場だ。ほんとうの「豊かさ」とは何か━━。

ハワイとアメリカ本土(メインランド)を舞台に、ある一家の波乱にみちた運命がつづられる。バラク・オバマのベストブックリスト(2020年版)にも選ばれた、ハワイで生まれ育った作家による渾身のデビュー長編。



明かされる真実へと、ぐいぐい引きこまれろ。ウォッシュバーンはとてつもなく優れた新時代の書き手だ。この長大な家族の物語は、サメの牙のようにするどい。ページははじけて火花を散らす、そして、君をすっかり変えてしまう。

━━━━━トミー・オレンジ(『ゼアゼア』)



古い神話と新たな現実がぶつかり、愛と悲しみが手をつなぎ、信仰と魔術がぎちぎちとこすれあい、喜劇がくるりと悲劇に変われば、まったく新しいなにかが生まれる。そのすべてがとめどない感傷にのって語られる、じりじり焦げるほどに。

━━━━━マーロン・ジェイムズ(『七つの殺人に関する簡潔な記録』)



「海、自然、果物、楽園━━ハワイときいて、多くの日本人がとても良いイメージを抱くことでしょう。楽園としてのハワイ。それを期待してこの小説を読むと、あれ? と思うかもしれません。わたしは思いました。あれ? この小説に、楽園はない。主人公であるハワイ系フィリピン人のフローレス一家が生きる現代のハワイは、楽園とはかけはなれた苦しい生活が強いられる場所です。サバイバルという言葉がふさわしいほどです」(訳者あとがきより)