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大量絶滅はなぜ起きるのか~生命を脅かす地球の異変~(ブルーバックス B-2241)

尾上 哲治  著

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価格 \1,100(税込)         
発行年月 2023年09月
出版社/提供元
講談社
言語 日本語
媒体 冊子
ページ数/巻数 254p
大きさ 18cm
ジャンル 和書/理工学/地球科学/層序学、古生物学
ISBN 9784065333952
商品コード 1036717135
NDC分類 457.352
基本件名 古生物学
本の性格 学生用
新刊案内掲載月 2023年10月4週
書評掲載誌 朝日新聞 2023/10/07
商品URLhttps://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1036717135

著者紹介

尾上 哲治(著者):九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門教授。1977年、熊本県生まれ。博士(理学)。専門は地質学(層序学、古生物学)。世界各地の地層を調査し、天体衝突や宇宙塵の大量流入による環境変動、古生代・中生代の生物絶滅について研究している。鹿児島大学理学部助手、モンタナ大学客員教員、熊本大学大学院准教授を経て現職。2023年、文部科学大臣表彰「科学技術賞(研究部門)」を受賞。著書に『地球全史スーパー年表』(岩波書店、共著)、『新しい地球惑星科学』(培風館、分担執筆)、『ダイナソー・ブルース』(閑人堂)がある。趣味はサーフィン。

内容

2億150万年前(三畳紀末期)の地球で、陸も海も関係なく、80%もの生物種が一斉に消えた。世界中の地層に記録されたその大事件を「三畳紀末大量絶滅」という。このとき、いったい何が起きたのか? 気鋭の地質学者が、まったく新しい「絶滅論」を提唱する。

【おもな内容】
プロローグ 大地
1980年代、ヨーロッパやアメリカから鳥たちの異変の報告が相次いだ。殻が不完全な卵の産卵率はなぜ急上昇したのか? その原因は大地の変化にあった。
第1章 異変
ニューカレドニアには、三畳紀末の海で形成された地層がある。三畳紀末に起きた異変の謎を解く、最初の手がかりだ。生物が小型化し、絶滅した世界「スモールワールド」が見えてきた。
第2章 混沌
ロッキー山脈の東端、ブラックベアリッジという丘陵地にも三畳紀の海の地層がある。そこでは、海退、酸性化、無酸素化という多様な環境変化の記録が見つかった。この混沌の中に大量絶滅の原因が隠されているのだろうか?
第3章 犯人
三畳紀末のさまざまな環境変化を引き起こした有力な容疑者は、巨大隕石と史上最大規模の火成活動。広範囲で見つかる海底地滑りの証拠は、犯人特定につながるか?
第4章 指紋
世界中の地層を対比するには、時間の物差しが必要だ。その目盛りとして、炭素同位体比という「元素の指紋」が使える。海洋の異変、生物の小型化と絶滅、そして地層から見つかった3つの目盛りはどのような順で並ぶのか?
第5章 連鎖
三畳紀末大量絶滅を説明する美しい理論が発表された。それは、二酸化炭素が形を変えながら大気・大地・海洋を変化させていく「連鎖モデル」だ。謎はすべて解けた……のか?
第6章 疑惑
オーストリア・タトラ山脈で見られる三畳紀末の地層には、生命活動の豊かな海と突発的絶滅が記録されていた。連鎖モデルへの疑惑が湧く。二酸化炭素のリレーでは「遅すぎる」!
第7章 消失
化石に記録された三畳紀の海水温が、驚くべき温暖化を示した。温暖化は生物の小型化をもたらしうる。さらに、2つの新しい異変が見つかる。海で生物が小型化したとき、陸地では森と土壌が消失していた。
第8章 限界
どれだけ暑く、湿度が高ければ、生き物は死にはじめるのか? スモールワールドは、極端な温暖化が生命の限界を超えた世界だったのかもしれない。
第9章 境界
現在の地球では、「第六の大量絶滅」が進行中だという。それは本当なのか。環境変化がどの境界を越えると、大量絶滅が起きるのだろうか。
エピローグ 深海
岐阜県の木曽川沿いには、三畳紀末の深海で形成された地層がある。そこで見つかる化石は、何かがおかしい。新たな謎が立ち上がる。