内容
本書は、現代の解析学を支える大きな礎石のひとつである測度と積分論について、その基本事項を函数解析学との接点とともに丁寧に解説した。また、積分論に基づく函数空間の基本事項およびいくつか特殊な主題(可積分函数空間の弱位相、可積分函数の空間上で定義される非線形積分作用素の連続性、確率測度のつくる空間の弱位相)を詳述する。さらに、今日、数理経済学や、最適制御理論、発展方程式論、変分解析においても用いられる多価函数について、その可測性および積分の理論を解説する。改訂にあたっては、旧版にあった誤記・誤植を訂正することに加えて、大きくは次の追加・変更を行った。第一に、Riesz-Markov-Kakutaniの定理を拡充し、より一般的に述べた。第二に、いわゆる測度の積分々解(Young測度)の基礎を最終章(第13章)として加えた。第三に、積分法における変数変換公式の証明法を簡便な方法に切り換えた。