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荷を引く獣たち~動物の解放と障害者の解放~

スナウラ・テイラー  著

今津 有梨  翻訳
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価格 \3,080(税込)         
発行年月 2020年09月
出版社/提供元
洛北出版
言語 日本語
媒体 冊子
ページ数/巻数 443p
大きさ 19cm
ジャンル 和書/生命科学、医学、農学/生物学/動物学
ISBN 9784903127309
商品コード 1031982942
NDC分類 480.9
基本件名 動物-保護
本の性格 学術書/学生用
新刊案内掲載月 2020年10月4週
書評掲載誌 毎日新聞 2020/10/03、朝日新聞 2020/10/24、朝日新聞 2020/12/26、日本経済新聞 2021/10/09
商品URLhttps://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1031982942

著者紹介

スナウラ・テイラー(著者): 1982年生。画家であり作家、そして障害者運動と動物の権利運動の担い手。アメリカ合衆国のアリゾナ州ツーソンに生まれ、ジョージア州アセンスで、アンスクーリング〔学校に通わず子ども主導で学習する教育〕によって学びながら育つ。カリフォルニア大学バークレー校で、美術修士号を取得する。共著として、Ecofeminism: Feminist intersections with other animals and the earth (2014)〔エコフェミニズム――他の動物たちや地球とのフェミニスト的な交差〕、Occupy! : Scenes from Occupied America (2011)〔オキュパイ!――占領下アメリカからの情景〕などがあり、また、さまざまな雑誌やウェブ媒体にも寄稿している。姉のアストラ・テイラーが監督したドキュメンタリーExamined Life (2008)〔吟味された生〕では、哲学者のジュディス・バトラーと対話し、同題の書物にも収められた。本書『荷を引く獣たち』は、2018年度のアメリカン・ブック・アワードを受賞した。
今津 有梨(翻訳): 一橋大学大学院言語社会研究科修士課程を、森崎和江の「非所有の所有―性と階級覚え書」についての研究によって修了する。その後、「動物」というテーマと出会うなかで、現在は、韓国の延世大学文化人類学科修士課程に在籍中。翻訳書として、高秉權(コ・ビョンゴン)『哲学者と下女――日々を生きていくマイノリティの哲学』(インパクト出版会、2017年)がある。

内容

 動物の解放と障害者の解放の、深くて大切な結びつき。
 アメリカン・ブック・アワード(2018年度)受賞作品!

 スナウラ・テイラーは、一人の障害当事者として、障害者運動と動物の権利運動の担い手として、そして一人の芸術家として、読者に問いかける。もし動物と障害者の抑圧がもつれあっているのなら、もし健常者を中心とする制度と人間を中心とする倫理とがつながっているのなら、解放への道のりもまた、交差しているのではないか、と。

 彼女は考えつづける。デモに参加しながら、絵を描きながら、対話しながら、食べながら。いったい何が、動物たちから人間を、障害者ではない人たちから障害者を、区別しているのだろうか、と。

 彼女は考えつづける。身体的・精神的な能力の有無や高低(世界の中でどのように動いたり、動けなかったりするか)を基準にして、私たちは、自分を「人間」として意識し、他なる者を「動物」として値踏みしてしまっているのではないか、と。「人間」としての自分という自負を保つために、私たちは、「動物」との違いを際立たせることに、どれほど血道をあげているのだろうか、と。

 この『荷を引く獣たち』には、「障害」と「動物」という、これまで対立すると見なされてきた問題が、実際には深く結びついているということが、テイラー自身の体験にもとづいて、丁寧に書かれている。
 そのうえで彼女は、もっと風通しのよい、ゆたかな経験と共感にくつろぐ未来を、読者に語りかける。目前の世界の姿を、荷車や車椅子の輪のように、ぐるりと回転させ、しなやかに変えてみせるのである。おおらかに、エレガントに。
 壊れやすく、依存的なわたしたち動物は、ぎこちなく、不完全に、互いに互いの世話をみる。本書は、そのような未来への招待状である。

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