行動経済学の使い方(岩波新書 新赤版 1795)
大竹 文雄 著
内容
目次
はじめに 第1章 行動経済学の基礎知識 1 プロスペクト理論 リスクのもとでの意思決定/確実性効果/損失回避/フレーミング効果/保有効果 2 現在バイアス 先延ばし行動/コミットメント手段の利用 3 互恵性と利他性 社会的選好/互恵性 4 ヒューリスティックス 近道による意思決定/サンクコストの誤謬/意思力/選択過剰負荷と情報過剰負荷/平柊への回帰/メンタル・アカウンティング/利用可能性ヒューリスティックと代表性ヒューリスティック/アンカリング効果/極端回避性/社会規範と同調効果/プロジェクション・バイアス 第2章 ナッジとは何か 1 ナッジを作る 軽く肘でつつく/行動の特性を考える/行動変容を本人が望んでいるか/ナッジの選び方 2 ナッジのチェックリスト Nudges/EAST/MINDSPACE 3 ナッジの実際例 老後貯蓄の意思決定/自然災害時の予防的避難/ナッジは危険なのか? 第3章 仕事のなかの行動経済学 1 三つの例から バイトのシフトをどう入れるか/タクシー運転手の行動予測/行動経済学で解釈すると/プロゴルファーの損失回避 2 ピア効果 優秀な同僚が入ってきたら/スーパーマーケットのレジ打ち/競泳のタイム決勝 第4章 先延ばし行動 1 賃金について考える 参照点による効果/伝統的経済学による年功賃金の説明/行動経済学による年功賃金の説明 2 バイアスに着目する 失業期間を短くする/長期失業を防ぐナッジ/社会保障給付申請の現在バイアス/長時間労働と先延ばし行動 第5章 社会的選好を利用する 1 贈与交換 贈与交換で生産性は上がるか/負の贈与の影響/贈与のイメージを意識させる 2 昇進格差はなぜ生まれる? 競争選好に男女差はあるか/マサイ族とカシ族での実験 3 多数派の行動を強調する 女性の取締役を増やすナッジ/無断キャンセルを減らすナッジ 第6章 本当に働き方を変えるためのナッジ 1 仕事への意欲を高める 際限なく続く仕事/「シーシュポスの岩」の実験/意味のある仕事 2 目標と行動のギャップを埋める 達成できない目標/実行計画を書き出す/量ではなく時間で/合理的行動の落とし穴/習慣化できるルールを作る/次善の策がベストの策 第7章 医療・健康活動への応用 1 デフォルトの利用 ナッジで変える健康活動/大腸がん検診の受診率向上ナッジ/ワクチン接種率の向上ナッジ/オプト・イン/終末期医療の選択 2 メッセージの影響を考慮する 利得フレームと損失フレーム/治療法の説明 3 成果の不確実性を考慮する ダイエットのナッジ/ジェネリック薬品への切り替え 4 臓器提供のナッジ イギリスでの実験/日本での実験 第8章 公共政策への応用 1 消費税の問題 重く見える消費税負担/同じ税負担でも消費行動が変わる/誤計算バイアス/軽減税率はなぜ好まれるのか/軽減税率は補助金と同じ/軽減税率の行動経済学 2 保険料負担の問題 一般の人の理解/伝統的経済学での理解/現実はどちらか 3 保険制度の問題 公的年金・公的健康保険の必要性/モラルハザード/法案提出と損失回避/少数派として意識させる 4 O型の人はなぜ献血をするのか 血液型性格判断/献血行動と血液型/血液型の特性に着目する おわりに 文献解題