内容
左派の退潮が言われて久しい。
世界中が新自由主義に覆われ、格差や貧困がクローズアップされたにもかかわらず、左派への支持は広がらなかった。
いや、むしろ左派への風当たりはより強くなったと言えるかもしれない。一方、右派や極右はますます支持基盤を拡大しているように見える。
左派退潮の分岐点はどこにあったのか? 左派を再興することは果たして可能なのか?
「左派を再び偉大に」することを狙う本書は、この問いに正面から答える。
1970年代、先進資本主義国では資本の収益性が劇的に低下していた。危機感を抱いた支配層は、福祉国家下の「階級的妥協」を棚上げして露骨な階級闘争を仕掛ける。
新自由主義的な再構築で起こったことは、決して国家の「衰退」や「空洞化」ではなく、〈脱民主化〉による国家主権の権威主義化だったのだ。
「国家の死」を寿いだ左派はここを大きく見誤ってしまった。そして、40年にわたり支配層から仕掛けられた階級闘争によって周縁化され、収奪された人々は極右運動に引き寄せられていった……。ポスト新自由主義世界を見通す左派再興の処方箋。