内容
神々との交歓の、日々の労働の、そして享楽の歌。代表的歌謡集を収録。
「歌謡」とは、人類にとってもっとも古く新しい、しかももっともなじみの深い文芸ジャンルと言えるのではないでしょうか。太古の姿を伝え、今も大きな宮中神事に重要な地位を占める、神々との交歓のうた『神楽歌』。上代地方民の民謡や流行歌から、平安貴族の間で口ずさまれるようになり、『源氏物語』の巻名にも使われた『催馬楽』。身分の隔てを越えて平安京に大流行し、後白河院愛唱の今様集として成立した『梁塵秘抄』。中世民衆の感慨を一息につづり、現在の流行歌にも通じる哀調を奏でる小歌集『閑吟集』。また、今様修行にひたすら打ち込む後白河院の自叙伝とも言える『梁塵秘抄口伝集』も収録しました。ふとしたときに口をついて出る「うた」の系譜を、お楽しみ下さい。