現代中国~グローバル化のなかで~(岩波新書 新赤版)
興梠 一郎 著
内容
目次
序章 計画化から市場化へ 中国共産党の路線闘争/計画経済の時代/市場経済化へ 第一章 都市と農村の変貌 1 苦悩する農民たち 増える負担/伸びない収入/相次ぐ農民の抗議運動/農村問題をいかにして解決するか 2 「民工潮」──農村から都市への流動人口 増える出稼ぎ労働者の犯罪/差別される出稼ぎ労働者/流動人口対策/流動人口の実態/同郷者との結びつき/出産と教育/人口問題という難題 3 進む階層分化と収入格差 集中する富/さまざまな格差/いかに格差をなくすか 4 漂泊する都市 改革の成果/旧秩序の解体/新中間層の台頭/家族構造の変化/未来への不安/秩序の再編──市場化と都市 第二章 ゆらぐ秩序──権力と暴力 1 腐敗のネットワーク 汚職の構造──瀋陽市長の場合/暴力団との癒着/売りさばかれる官職/深刻化する腐敗現象/絶対権力をチェックするために 2 「黒社会」勢力の復活 進む市場経済化と暴力団の台頭/政界への浸透/地縁の復活/流通する非合法武器 3 立ち上がるメディア 襲われる記者たち/南丹事故に見るメディアの役割/統制下の自由──市場と政治のはざま 第三章 高度成長のジレンマ 1 押し寄せる高齢化の波 「先老後富」──加速する高齢化/迫られる社会保障制度の整備/養老年金/どこで老後を迎えるのか 2 遅れた社会保障 失業保険/医療保険/「福祉住宅」の終わり 3 悪化する生態環境 砂漠化の進行/開発による耕地の減少/枯渇する水資源/持続的経済発展と生態環境 4 高まる進学熱 義務教育/重い負担の背景/大学の学費値上がり/大学生の就職難/入試合格点の地域格差/留学熱 第四章 政府が直面する試練 1 国有企業は改革できるか 急がれる改革/国有企業の苦境/所有権──誰の会社なのか/官僚組織としての企業という矛盾/国有企業改革と金融システム 2 ゆれる共産党政権 革命党の変貌/左派の反発/「市民社会」の萌芽か/脱革命の試練 3 中国版「行革」のゆくえ 政府機能の転換/困難な地方の行革/機構改革の抜け穴/機構改革の難点 終章 中国はどこへ向かうのか 市場経済秩序の構築/WTO加盟のインパクト/資源と市場の確保──良好な国際環境が維持できるか 参考文献 あとがき