内容
分子・細胞・遺伝・発生・生理・生態・行動というように、分子から個体までの生物学を解説した。全編を貫いている考え方は以下のようなものである。まず生き物の特性とは何かを考えるところから導入する。次に生き物は増えるという命題を中心にすえ、増えるときに多様性を求めて遺伝子の混ぜ合わせを行うこと、そうして生じた新個体が成体へと大きくなり(発生・分化し)、出来上がった新個体が生命の寿命を全うするために、また自己を存続させるために、外界と相互作用するありさまへと話題を展開する。最後に付録としてバイオテクノロジーを解説する。以上の組み立てから、生命の本質を健康な生命の遺伝と維持であると捉え、人の幸福がどこにあるかが自ら見えてくるような、パラメディカルな分野にも絶えず話題を発展させるように、努めて書かれている。そのため理学部・農学部・工学部などの生物系の学生だけでなく、薬学・看護学・福祉学などで学ぶ、将来、人の「いのち」と直接かかわる道へすすむ学生にも最適な基礎生物学の教科書となっている。