豊かさの条件(岩波新書 新赤版)
暉峻 淑子 著
内容
目次
はじめに 第一章 切り裂かれる労働と生活の世界 高失業率の時代/社会にとって労働とは何か/フリーターへの道/非正規労働者の苦悩/賃金カットにリストラ/問題にされない労働時間/超長時間労働は増えている/生活はどこへ行ったのか/ある社会科の授業より/ 「失業」とは何を意味するのか/エンゲルの真理/日本とドイツ、違いはどこから/長期の失業保険が暮らしを支える/失業者同盟が相互援助/失業問題に敏感に反応する労組/働き盛り世代の自殺者/放置されたホームレス/なぜ生活保護が受けられないのか/なぜホームレスが増えているのか/社会から排除された人々/社会保障なしに自立はない/二人はなぜホームレスに?/ホームレスの背後に消費者金融が/暮らしは安全か 第二章 不安な社会に生きる子ども達 失われた「子ども時代」/国連の報告書にみる日本の子ども/ドイツの「いい学校」/取材し、調査し、報告する/自分達の町の報告/ 「おもろない」大人への道/ 「1」の時間/発見する答え/大人への時間/国際学力テストの結果から/日本の子ども達の「学力」/個性と競争と愛国心/無限の競争の歯車/諦めた子ども達の姿/自由と競争/無限の競争の果て/学力低下はどこから?/ドイツ人がみた日本の教育/ドイツの反省/フリースクールにみられる教育の原点 第三章 なぜ助け合うのか 増えつづける不登校/わがままと協調性/父親の姿/ 『心のノート』の目指すもの/いじめは減っていない/社会に突きつけられた遺書/大人の世界でもいじめが/一体感を求めて/多様な職業を喪失する社会/全体性の営み/生活のもつ全体性/助け合いが心を支える/戦争の中での連帯・交流/態度価値/連帯する場 第四章 NGOの活動と若者達 偶然の避けられないきっかけ/平和共存から憎悪の時代へ/国家を超えて/大田さんの話/全国から助け合う行為が/必要なところに必要なものを/別人に生まれ変わる学生達/異文化での援助ということ/被災地に届いた招待状/本当の国際理解/心の温かさに触れて/自立を模索する難民達/ 「魚を贈るより、釣り道具を贈れ」/助け合いはこだまし、続く/神戸での再会/ 「山が動いた」/一人の人間としての出会い/流産した音楽会/コソボ空爆の下で/更なる交流/平和の歌声 第五章 支えあう人間の歴史と理論 安心の支え/共同の領域とは何か/税金が共同の領域をつくる/三つの共同部分/労働とは何か/不平等の中の労働者/労働組合の結成/壊滅の労働組合/相互扶助の国家化/生活協同組合の源流/新しい社会の建設を目指して/日本での困難/賀川豊彦と市民生協/ 「正気の島」/共同の世界の歴史/社会ダーウィニズムの誤り/クロポトキンの思想/マルクスの手紙/市場の限界/社会的共有部分という課題 希望を拓く──終章に代えて 市民的公共性をつくる/情報ネットワークが社会を変える/ 「土民生活者」の力/コミュニケーションの能力/豊かさの条件とは何か あとがき