内容
非線形現象から誘導される力学系を明らかにする方法の一つに実解析的手法がある。この方法は測度論を基礎におくエルゴード理論にあって、多くの研究者が利用してきた。当初は難解であったこの手法も、その後用いる道具は整理され他理論との関連性も明確になって、予想以上に面白い内容をもたらしている。本書は、その面白さを実感できるために入門から始めて最先端に達することができるよう配慮したシリーズの第3巻目であり、話題を2、3次元ユークリッド空間に制限して力学系の構造を捉えやすくするよう努めている。また、単なる入門書で終わることなく、近年大いに注目を集めている成果も含めている。幾何的手法と実解析的手法の融合による非線形現象の解析の広い構図が生まれ、新たな展開への一助となればと期待している。