内容
「身体の発見」をめぐる研究史の中で、〈観念/肉体〉〈個人・社会>の区別は、一見対立項に見えながら、実際には繋がり、重なり、逆転する。そして、この"連接・重層・逆転"は、今日、あらゆる知の現場で、不断に起こっている現象であり、好むと好まざるとに関わらず我々はそれを意識し、自らの知の在り方を再考せざるを得ない。身体という場で、集団という場で、そして、学問という場においても、かつてあったパラダイムの変更が不可避なものとなっているのである。
本書のテーマ「腐敗と再生」もまた、身体、医、文化のあらゆる局面に見出され、しかもこの主題系もまた”連接・重層・逆転"をその性格とする。身体、医、文化という場面において、腐敗は再生へ(再生は腐敗へ)と変転し、腐敗は再生を(再生は腐敗を)包容し、腐敗と見えたものに再生の美が(再生と見えたものに腐敗の醜が)宿るのである。