内容
立体の知覚・認識に関する錯視を数理的に理解する枠組みを与え、それに基づいてさまざまな視覚現象を整理・説明しています。
立体の知覚は人間の基本的な視覚能力ですが、2次元の網膜像にはそもそも奥行きの情報が欠けているため、立体を知覚するときには、私たちは予備知識や先入観などの情報を付加して網膜像を解釈しています。したがって、立体の知覚自体が偉大なイリュージョンである、ということができましょう。
このような視点に立って、普通の知覚と錯視とを同一の数理的原理に基づいて理解しようというのが、この本の特色です。数理を用いる利点の一つは新しい状況で何が起こるかを予測できることですが、これを利用して、新しいタイプの立体錯視の可能性も探ります。
立体の知覚・認識に関わる心理的分野に興味を持つ人、建築・彫刻・現代アートなどの立体芸術分野に興味を持つ人、手品の種などのトリックに興味を持つ人など、広い読者に楽しんでいただける奥深い書です。