地域は「自立」できるか
奥野 信宏 著
内容
目次
はじめに Ⅰ プロローグ――都会と田舎の断絶 格差か,意識の断絶か 都会で田舎者が減った 田舎での教育負担 食料供給基地としての貢献 農産物の高付加価値化 風土の保全 東京集中で何が悪いのか 援助する側,される側 Ⅱ 地域格差は拡大しているか 1 縮小する地域格差 格差の長期波動 経済変動と格差 2 第一の波と高度成長 高度成長の始まりと格差拡大 成長神話の崩壊 ナショナルミニマムと格差是正 効果が大きかった公共投資 3 第二の波と安定成長 高度成長の終焉 財政危機と格差拡大 評価できる公共投資政策 4 二層の相反格差の出現 深刻になった地域内格差 公共事業頼みの地方経済 土木依存経済からの脱却 Ⅲ 多様な自立の意味 1 自立が生み出す交流・連携 切り捨てに繋がる「自立」 自立がなぜ大事か 宿場町の発展 全国総合開発計画が目指した自立 2 財政で求められる自立は何か 見えない財政の自立 地方の自立を妨げる財源調整 財政規律はなぜ崩れたか 地方の困難は自治体の責任か 地方分権は地方再生になるか 〔コラム〕足による投票と地域の競争 3 住民の満足が基本 市場メカニズムの貫徹 多様な生き方が認められなかった 衰退は地方の責任か 地域の自立の意味 〔コラム〕地域づくりと範囲の経済 Ⅳ ブロック圏の自立 1 ブロック圏の役割 指針性が低下した全総 地方主体の国土計画のあり方 ブロック圏の自立に向けた条件 表日本と裏日本は解消できる 都市と農山村,大都市と地方の交流 多様な解釈を許してきた「国土の均衡ある発展」 2 社会資本の静かな危機 社会資本はさらに整備する必要があるか 公共事業予算はどこまで削減できるか 有効な利用・活用 効率的に整備し,長く使う 〔コラム〕PFIの今後の役割 Ⅴ 地方中小都市,農山村の自立 1 市場経済を補完する「新たな公」 住民の満足と自立 ソーシャル・キャピタル 「新たな公」の役割 「新たな公」で参加機会をつくる 人材の育成 資金の支援 新たな公としての大学 〔コラム〕地域資源の発掘 2 限界集落は線を引くべきか 多くある限界集落 線引きはできない 意識のずれ 最後まで行うべき届けるサービス 3 地方から見た二地域居住の意味 二地域居住の役割 可能にする条件 大都市住民のわがまま 行政サービスに対する税負担をどうするか Ⅵ 集約化で地方はどう変わるか 1 生活支援機能の集約化 四つの集約化 必要な生活支援機能の集約化 2 居住の集約化は行うべきか 移住を強制しかねない居住の集約化 居住の集約化と地域文化の消滅 3 合併による行政機能の集約化 合併で消えた地域情報 都市内の分権化 4 働く場の集約化と所得確保 食管から福祉へ 地方への工場誘致の効果 地域ブランドの意義 5 集約化と鉄道駅の復権 鉄道駅と街の機能の集約化 公共交通の役割 限定的な規制緩和の効果 〔コラム〕新たな公と市場の失敗 Ⅶ エピローグ 発展は不均等である 多様性と連携