王朝物語史論~引用の『源氏物語』~
星山 健 著
内容
目次
序 本書の概要と研究方法 凡例 ■■■第1部■■■ 『源氏物語』の達成--人物造型と物語引用-- ●第一編 光源氏像の形成 --超越的主人公たらしめるもの-- 第一章 「桐壺」巻論--〈主人公/敵役〉生成のダイナミズム-- 第二章 「常夏」「篝火」巻論--物語構造がもたらす光源氏の優位性-- 第三章 「藤裏葉」巻「太上天皇になずらふ御位」考 --「めづらしかりける昔の例」の解釈を中心に-- ●第二編 主人公を取り巻く者達の政治性 --内大臣と宇治中君-- 第一章 「藤裏葉」巻論--「人にはことなる」内大臣の対光源氏意識の変化に着目して-- 第二章 「若菜上」巻以降における太政大臣 --皇女降嫁への執着と柏木の死、そして政治の物語の終焉-- 第三章 宇治十帖における政治性 --中君腹御子立太子の可能性と、薫・匂宮に対する中君の役割-- ●第三編 脇役的人物の造型 --局面性と一貫性、あるいは歴史引用と物語引用-- 第一章 「真木柱」巻における式部卿宮像と為平親王--子息達の官位に着目して-- 第二章 明石入道像形成の方法--良清による噂話が果たす役割-- ●第四編 『源氏物語』における『源氏物語』引用 第一章 「竹河」巻論 --「信用できない語り手」「悪御達」による「紫のゆかり」引用と作者の意図-- 第二章 橋姫物語における末摘花物語引用 --光源氏が幻視した女君としての宇治中君-- ■■■第2部■■■ 物語の行方--『源氏物語』引用の諸相-- ●第一編 『源氏物語』超克の試み --後期物語論-- 第一章 『夜の寝覚』第一部の再評価--物語展開と作中人物の心理的必然性-- 第二章 『狭衣物語』における飛鳥井女君の造型方法--反転された夕顔物語-- ●第二編 『源氏物語』的恋愛観からの離反 --『今とりかへばや』論-- 第一章 『今とりかへばや』冒頭部考--〈恋物語〉からの脱却-- 第二章 『今とりかへばや』宰相中将の恋 --〈絶対性の喪失〉と〈作中人物の二者一対的扱われ方〉-- 第三章 〈流離する貴種〉の系譜 --『今とりかへばや』における光源氏須磨・明石流離物語引用-- 第四章 王朝物語史上における『今とりかへばや』 --「心強き」女君の系譜、そして〈女の物語〉の終焉-- ■■■附■■■ 批評する物語、『無名草子』 第一章 〈場の物語〉の系譜における『無名草子』 --聞き手老尼の経歴および年齢に着目して-- 第二章 『無名草子』の時代認識と批評態度 --「遥かなる世界にかき離れて」-- 初出一覧 あとがき 索引(人名・語句・書名)