芝 紘子 　著

著者紹介

内容

目次

　プロローグ Ⅰ 環地中海地域における〈名誉〉観念 　はじめに――〈名誉〉観念の表出現象 　第一章 環地中海地域になぜこの観念が遍在するのか 　　1 地中海研究とは 　　2 地中海の環境的統一性 　　3 心性への環境の影響 　　4 地中海のエトスは後進的か 　第二章 民衆がなぜ〈名誉〉観念をもつのか 　　1 核家族の倫理 　　2 民衆間の平等主義 　　3 集住形態 　第三章 〈名誉〉はなぜ女性の貞潔性と結びついたか 　　1 従来説の限界 　　2 女性性が象徴するもの 　第四章 宗教は〈名誉〉観念生成にどのような役割を果たしたか 　　1 キリスト教圏における貞潔性要求の源 　　2 キリスト教圏の「小さな伝統」――地中海ヨーロッパと北西欧の違い 　　3 イスラーム圏における貞潔性要求の源 　おわりに――〈名誉〉観念を生成した複合要因とその多様な組合せ Ⅱ スペインにおける〈名誉〉観念の生成と変遷 　はじめに 　第一章 〈名誉〉観念はスペインでいつ，どのように生成されたか 　　1 古代・西ゴート時代・中世前期の様相 　　2 簡略フエロ(地域法)時代(10-12世紀)――名誉感情の萌芽 　　3 拡大フエロ時代(13-14世紀初頭)――名誉意識の尖鋭化と侮辱への厳罰 　　4 〈名誉〉観念の顕現(13世紀中葉)と不義規定の登場 　第二章 〈名誉〉観念の成立後にどのような変化がおきたか 　　1 強姦罪規定の消滅(14世紀中葉) 　　2 男の名誉の移動――髭の価値の相対的低下(14世紀) 　　3 私的報復権の制限と「角による許し状」の登場(14世紀中葉) 　　4 被害者救済としての結婚・嫁資供与(13世紀中葉) 　第三章 カスティーリャ王国でジェンダーはどのように生成されたか――〈名誉〉観念からの派生 　　1 「男らしさ」・「女らしさ」の中世期における出現 　　2 男性優位主義・男支配の由来 　第四章 ジェンダーの教会による官製化――トリエント公会議以後の聖図像の変遷をとおして 　　1 マリアの変貌――聖母から処女へ 　　2 ヨセフの変貌――端役から主役へ 　第五章 近世・近代における〈名誉〉観念の顕れ 　　1 ドンフアニスモ 　　2 マチスモ 　エピローグ 長期持続現象としての〈名誉〉観念――“トリスターナの復讐” 　注 　あとがき 　関連年表 　文献一覧e