内容
フランシス・ハチスンは18世紀スコットランド、グラスゴー大学の道徳哲学教授であり人格的魅力に色彩られた講義を通じて、哲学をスコラ的方法から解放し、同時に人間性の尊厳と自由の確信を大衆に拡め、イギリスにおける啓蒙主義の実をあげた。本書は美学史上初めての近代的論文といわれ、美と善の自律性の理論を構築したものとされる。また美と善の自律的判断能力に人間の尊厳性をみる思想としてカントに先駆するものであった。道徳哲学者としてのハチスンは「人間には善悪を区別する道徳感覚がある」として近代・市民社会形成期の一思想を代表した。