内容
「脱産業社会」という概念と、「サービス社会」や「知識社会」、「情報社会」といったそれに関連する一連の用語は、研究者たちが現代の生活様式の変化の過程を解明しようと試みるにつれ、1970年代以降、社会学の議論において重要な位置を占めています。アメリカの社会学者Daniel Bellが、影響力ある著作のなかでたてた中心的なテーゼは、経済生活、生産、労働世界は情報技術における革新が広まることにより変化をこうむるというものです。とりわけ20世紀後半の、とくに発展の著しい社会においてこの変化は顕著であり、製造業の雇用は減少し、専門性の高いサービス業や技術を要するサービス業など、サービス業一般の雇用は増加していて、理論的知識や情報技術、コミュニケーション技術の発展がその引き金となっています。こういった発展はグローバル経済や、グローバル化の進行しているタイプの労働に重要な副次的影響を与え、仕事の性質や様式、教育システムなど多くのものにも影響を及ぼしています。また、情報技術へのアクセス方法が多様化したことが「デジタルデバイド」を引きおこしているため、不平等や貧困、社会的排除なども上述の発展に影響されていると言えます。
本コレクションは、脱産業社会と技術経済分野に関する示唆に富む論文を、MarxやPent、 Riesman、Bell、Castells、Touraine、Dahrendorf、Giddens、Gorz、Lyotardといった重要な思想家の著作から集めたものです。収録した80本の論文は、脱産業主義の登場、発展、歴史的基礎の見取り図を描き出しています。収録論文のなかには、脱産業主義のテーゼや関連するテーマを批判的に検討しているものや、経済的、政治的側面を考察しているもの、情報社会や知識社会といった関連性のある概念を論考しているもの、情報技術の始まりが軍事産業にあることを指摘しているものなどがあります。それだけでなく、建築やデザイン、都市空間といった脱産業主義にかかわる他のテーマを考察している論文も採録されており、重要性を増している問題であるサーベイランスと環境に関係するテーマを取り上げた論文も収録されています。