ブルームズベリーグループの主要メンバーであったリットン・ストレイチー（1880-1932）はイギリスの伝記文学に心理的要素を取り入れたことでも知られています。本書はストレイチーの未発表エッセイや対話、物語を集めた初めてのものであり、第一部では、ケンブリッジ時代の討論会での15の全原稿（「深夜会」(the Midnight Society)、「日曜エッセイ会」(the Sunday Essay Society)、「ケンブリッジ使徒会」(the Apostles)での作品）を収録しています。また、ストレイチーは思考の手段として対話にこだわっており、第二部では完成したものであろう皮肉めいた対話作品を掲載しました。第三部では、ストレイチーがたびたび取り組んだが出版されることのなかったジャンルから5話の優れた作品を収録しました。
ストレイチーの未刊作品は、彼が今まで考えられていた以上に道徳への強い関心を持っていて、精神的、感情的めざめが作品に表れているといった、彼の人生と作品に対する斬新かつ重要な見方を提供してくれます。本書はモダニズム研究者やブルームズベリーグループ研究者にとって必携の書となるだけでなく、ストレイチーがヴィクトリア朝研究の発展にも影響を与えたことから、ヴィクトリア朝研究者にとっても大変興味深いものとなるでしょう。
これらの未発表作品は、大英図書館のストレイチー作品をもとに、ストレイチートラストと英国作家協会の依頼を受け出版しています。