内容
国際社会における権力構造は、冷戦後のアメリカによる一極構造が、(アフガン・イラクの桎梏、サブプライム・ローン問題、リーマン・ショック等による)アメリカの国力と国際的地位の相対的低下、逆に言えば中国・インド等の新興大国の台頭による新しいパワー・バランス(多極または無極構造)に姿を変えつつある。
このような国際状況のもとで日本に要請されるのは、日本自身の座標軸を明確に設定した上で、戦略的思考に基づく外交・安全保障政策を果敢に実行していくことである。日本社会に根を下ろしつつある閉塞感、内向き・縮み思考を逆転させるためにも、日本は世界の平和、安全及び繁栄を志向して、積極的に国際社会に関与していくことが求められている。新しく生じつつあるパワー・バランスの動向を見据えつつ、自らのグローバルな役割と責任を自覚してこれを積極的に果たしていくためには何が必要か。
日本の外交・安全保障の問題を、外交・国際政治・防衛のエキスパートが論じ尽した必読の論文集。