冷戦と同盟~冷戦終焉の視点から~
菅 英輝 著
内容
目次
序章 冷戦変容と同盟変容(菅 英輝) 1 冷戦の終焉と冷戦史研究/2 冷戦秩序の変容/3 冷戦体制の変容と同盟変容/ 4 冷戦の変容と日米安保/5 同盟と文化・社会変容 第1部 冷戦秩序の変容―変化する経済秩序と「ソシアル・デタント」 第1章 冷戦・開発主義とシンガポールの工業化(秋田 茂) 1 アジアの工業化と冷戦/2 戦後アジアの国際秩序と経済開発の類型/3 歴史的背景/ 4 シンガポールの工業化戦略/5 アジアの開発主義と冷戦 第2章 「開発」問題の国際的展開と日本のアジア多国間枠組みの模索―1950-60年代を中心に(鄭 敬娥) 1 冷戦と「開発」/2 日本の戦後地域構想と「東南アジア」開発/ 3 岸内閣の「東南アジア開発基金」構想とアジアのナショナリズム/ 4 1960年代における「開発」の方法論的転換と日本の役割模索/5 東南アジア開発閣僚会議の開催/ 6 日本の地域的役割模索とアジア地域秩序 第3章 反核運動と冷戦の変容―1950年代後半から1960年代初頭におけるヨーロッパ反核市民運動とそれに対する政府の対応(芝崎 祐典) 1 核兵器の登場/2 反核平和運動への積極的対応/3 反核平和運動の押さえ込み/ 4 反核運動への選択的対応/5 冷戦の中の政府・同盟・市民 第4章 人の移動・交流と同盟関係の変容―ハンガリー動乱難民へのアメリカ、イギリスの対応から(都丸 潤子) 1 背景:ハンガリー動乱と難民/2 アメリカの対応/3 イギリスの対応/ 4 ハンガリー難民対応をめぐる英米関係/5 トランスナショナルな支援・交流の活発化 第2部 冷戦体制の変容と同盟変容―存続する同盟と崩壊する同盟 第5章 ひ弱な同盟―冷戦下アジアにおけるアメリカの安全保障関係(ロバート・J・マクマン) 1 東南アジアと南アジアにおける同盟の形成/2 東南アジア条約機構(SEATO)の誕生/ 3 北東アジアにおける同盟の形成/4 ヴェトナム戦争とASEANの誕生/ 5 ヴェトナムからの撤退とその影響/6 歴史的教訓とは? 第6章 中ソ同盟の起点―緩やかな統制と分業(松村 史紀) 1 東アジアのなかの中ソ同盟/2 緩やかな分業/3 中ソ同盟の誕生/4 三つの考察に代えて 第7章 「二重の封じ込め」の動揺―1960年代における米独関係と冷戦の変容(倉科 一希) 1 核兵器共有と米欧同盟/2 エリゼ条約と核兵器共有/3 ジョンソン政権とMLF/4 MLF交渉の継続 第8章 ドイツ統一とNATOの変容―統一ドイツのNATO帰属合意をめぐる政治と外交(森 聡) 1 二つのドイツ問題/2 米ソのヨーロッパ秩序構想/3 アメリカの対ソ安心供与策の形成と外交/ 4 アメリカ主導のNATO改革とコール訪ソ/5 ソ連が統一ドイツのNATO帰属を容認した理由 第3部 冷戦の変容と日米安保―変質する日米安保体制 第9章 「安保の論理」の歴史的展開(豊下 楢彦) 1 安保条約の「四つの論理」/2 「安保村」と「冷戦」の展開/3 安保体制と「同意の獲得」/ 4 構造的変容とその背景 第10章 冷戦秩序の変容と日米安保体制―同盟の対等性のあり方をめぐって(中島 琢磨) 1 日米の同盟内政治の論点/2 日米安保条約の成立とその問題点/3 安保改定/ 4 国際政治の多極化と日米関係/5 対等性の実現という論点 第11章 「日米安保再定義」―日米安保体制を抱きしめて(初瀬 龍平) 1 同盟の尺度/2 日米安保体制/3 日米関係と日米同盟/4 バランスシート 第4部 同盟と文化・社会変容―同盟の文化的・社会的基盤 第12章 日米安保体制を支える日米「文化・教育」ネットワークの構築―「日米文化教育交流委員会」設立の歴史的背景を中心に(松田 武) 1 冷戦と日米関係の基層/2 ライシャワーとその時代 第13章 冷戦とアメリカ社会の変容―反戦ヴェトナム帰還兵による「冬の兵士」調査会開催(1971年)と「正義の戦争」観への挑戦(藤本 博) 1 本章の目的と課題/2 反戦帰還兵による「戦争犯罪」告発と「冬の兵士」調査会の開催への道/ 3 「冬の兵士」調査会開催と反戦帰還兵による問いかけ/ 4 「冬の兵士」調査会開催の歴史的意義と調査会後における戦争の道義性への問いかけをめぐる相剋/ 5 「冬の兵士」調査会の遺産 第14章 大西洋同盟の文化的基盤―NATOの発信するテクストとその変遷(齋藤 嘉臣) 1 同盟の表象学/2 NATISの発信する1950年代のNATO/3 デタントの到来と1960年代のNATO/ 4 「交渉の時代」と1970年代のNATO/5 大西洋同盟の文化的基盤と同盟表象の政治作用 あとがき 事項索引 人名索引