槇原　茂 　著

著者紹介

内容

目次

序　章　私語りから市民の物語りへ（槇原　茂） 　１ 本書の目的——ミクロな歴史への問い 　２ 個人の語りへの関心 　３ 私語りとシティズンシップの関係 　４ 語りの複合性・重層性 　５ 本書の構成と浮かび上がる境界性 　第Ⅰ部　アイデンティティを問う「自分」とシティズンシップ 第１章　境界に立つ市民としての矜恃と限界（長田浩彰） 　　　　——ユダヤ人家族をもったアーリア人作家ヨッヘン・クレッパー 　１ ヨッヘン・クレッパーにかんして 　２ 1938年までの作家クレッパーの状況 　３ 1938年までのクレッパーの家庭生活 　４ クレッパーのナチ政権観——その保守主義にかんする考察 　５ クレッパーの市民的矜恃 第２章　グラーグ帰還者の自分史（松井康浩） 　　　　——トロツキー派ユダヤ人の自伝的回想録を読む 　１ スターリン時代の抑圧体験を記すこと 　２ 二人のトロツキー派党員の回想録 　　 ——シティズンシップ意識を読む 　３ バイタリスキーのソヴィエト「社会」論 　４ グラーグ帰還者のソヴィエト体制評価 第３章　ブレッド・アンド・ローズ（寺田由美） 　　　　——ローズ・シュナイダーマンの市民意識と個人の語り 　１ 女性労働運動家ローズ・シュナイダーマン 　２ 女性労働者の増加 　３ 1904〜05年衣服製造工のストライキ 　４ ｢二万人の蜂起｣ 　５ トライアングル火災 　６ ｢責任ある主人公｣へ 　第Ⅱ部　新しい社会をもとめる「自分」とシティズンシップ 第４章　闘う地域の変革者としての農村教師（青木利夫） 　　　　——20世紀前半のメキシコにおける教師の記録 　１ 地域の変革をもとめる「市民」の誕生 　２ カトリックの聖職者との関係 　３ 無知なる大衆 　４ 師範学校生徒から農村教師へ 　５ 愛国心と市民意識——「自分史」を書くこと 第５章　労働組合とシティズンシップ（久木尚志） 　　　　——ドッカー組合指導者ベン・ティレットの経験と語り 　１ 組合指導者ベン・ティレット 　２ 組合の結成とティレット——1880年代 　３ 組合の迷走とティレット——1890年代 　４ ティレットのシティズンシップ論 　５ ティレットの語りが映し出すもの 第６章　カトリシズムとデモクラシーのはざまで（長井伸仁） 　　　　——世紀転換期フランスにおける聖職者の市民意識と自分史 　１ 共和政フランスの「市民の自分史」 　２ 時　代 　３ ピエール・ダブリ 　４ 思想と回想 　５ 司祭から市民へ 第７章　｢農民｣と「市民」のあいだ（槇原　茂） 　　　　——ブルボネの農民、ジュール・ルージュロンと共同性 　１ ｢自ら語る農民たち｣の登場 　２ 農民の手紙 　３ 改革者ルージュロン 　４ リューシュ・ヴィティコルをめぐる対立 　５ ドメラの共同地問題 　６ 交差する歴史とルージュロンのシティズンシップ あとがき 索　引