映画とイデオロギー(映画学叢書)
杉野 健太郎 著
著者紹介
内容
目次
『映画学叢書』創刊にあたって(加藤幹郎:京都大学名誉教授) はしがき 第1章 〈二つの舌〉をもった文芸峰(李敬淑:宮城学院女子大学日本文学科准教授) ──〈植民地発コクゴ映画〉における女優表象 1 〈植民地発コクゴ映画〉とは何か──朝鮮映画とダイグロシア 2 映画『旅路』と国際進出への欲望──原節子という鏡 3 〈植民地発コクゴ映画〉をめぐる言説 4 〈国民〉から疎遠になること──文芸峰のコクゴ問題 第2章 トーキー移行期における日本像の形成(フィオードロワ・アナスタシア:日本学術振興会特別研究員PD〔北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター〕) ──日ソ合作映画『大東京』の製作・公開を例に 1 ソビエト映画人の来日と合作映画製作の背景 2 国際的知名度・記録性・リアリズム──昭和初期の日本におけるソビエト映画への期待 3 ソビエト映画人がみた日本 4 山田耕筰による録音作業とその意外な結果 5 合作映画における「トーキー・リアリズム」の不可能性 第3章 呼びかける死者たちの声(御園生涼子:筑波大学人文社会系准教授) ──大島渚『儀式』における国家と戦後民主主義のイメージ 1 地中に響く声 2 「儀式」としての戦後史 3 「家」としての国体 4 「三角ベース」と「死者たち」 5 「不死の身体」としての天皇 6 “日本”と“日本人” 7 「引揚者」──剰余としての「無国籍者」たち 8 「戦後」を生きる天皇 9 「戦後史」の死 第4章 Shall weリメイク?(井原慶一郎:鹿児島大学法文学部教授) ──『Shall weダンス?』とハリウッド映画のイデオロギー 1 〈アメリカ化〉されたリメイク 2 アメリカ公開版『Shall weダンス?』——予備的考察 3 リメイク版『Shall we Dance?』——ハリウッド製アメリカ映画の作り方 4 オリジナルとリメイク──脚本とミザンセーヌの比較分析 5 なぜリメイクするのか?——ハリウッド映画産業の〈ヘゲモニー〉 第5章 ドイツにおける西部劇の変容(山本佳樹:大阪大学大学院言語文化研究科教授) ──ジャンルとイデオロギー 1 カール・マイとその作品の映画化の試み 2 西ドイツのカール・マイ西部劇——罪と赦しをめぐるドラマ 3 東ドイツのインディアン映画——共産主義者としてのインディアン 4 統一ドイツにおける〈ヴィネトゥ〉 第6章 『イージー・ライダー』とユートピア(杉野健太郎:信州大学人文学部教授) ──アメリカン・イデオロギーの対立の創生 1 ロード・ムーヴィーとひとつではないアメリカ 2 自由というイデオロギー 3 幻滅のアメリカ──自由と平等の蹂躙 4 ワイアットの揺らぎとアメリカの揺らぎ──イデオロギーの対立の創生 第7章 ヴェトナム帰還兵映画としての『タクシー・ドライバー』(大勝裕史:東京工業大学外国語研究教育センター非常勤講師、大東文化大学社会経済学部非常勤講師) ──ヴェトナム戦争の徴候、反復、アレゴリー 1 1960年代から70年代におけるヴェトナム帰還兵映画の特徴 2 潜在態としての戦争記憶 3 暴力の間テクスト性 4 暴力の自己言及性 第8章 ゴダールの「ユダヤ人問題」(堀 潤之:関西大学文学部総合人文学科映像文化専修教授) ──歴史のモンタージュとの関わりを中心に 1 「ゴダールは反ユダヤ主義者か?」 2 迷走するモンタージュ 3 映画のユダヤ人 第9章 二つの時代のあいだで(藤城孝輔:ロンドン大学キングズ・カレッジ博士課程在籍) ──『花様年華』と『2046』における狭間の時空間 1 埃で汚れたガラス越しに見るかのように──『花様年華』、時計、ロールプレイング 2 未来へと向かう列車の旅──『2046』、ノスタルジア、身代わりの女たち 初出一覧 映画用語集 人名索引/映画タイトル索引 監修者・執筆者紹介 *執筆者肩書き・所属は刊行時のもの