草原と都市~変わりゆくモンゴル~
石井 祥子, 鈴木 康弘, 稲村 哲也 著
内容
目次
プロローグ―悠久のモンゴル、激動のモンゴル 第1章 モンゴルとはどのような国か 鈴木康弘 空路モンゴルへ/モンゴルの第一印象/多彩な自然とその恵み/ひとと社会 第2章 モンゴルの人びとと暮らし 稲村哲也 1 社会主義から市場経済へ―1990年代の変革 転換期のモンゴルを訪ねる/元朝の流れ/ハルハとモンゴル独立まで/社会主義から民主主義・市場経済へ/大民営化(国営企業民営化)と小民営化(地方レベルの民営化・私有化)/ゴビ地方のネグデル(農牧業組合)/ウランバートル近郊の国営企業(農牧業)の解体/市場経済化後の遊牧民/広がる都市と地方の格差 2 モンゴル西部の少数民族カザフとエスニシティ (バトトルガ・スヘーギーン、石井祥子、稲村哲也) 「多エスニック国家」モンゴル/モンゴルのマイノリティ/モンゴルのカザフの来歴/カザフ遊牧民の生活とその特徴/カザフスタンへの移住/市場経済化・民主化によるバヤンウルギーの町の変化/伝統文化の復興と観光/イスラームの復興/モンゴルにおけるカザフ・エスニシティの位置づけ 3 トナカイ遊牧民「ツァータン」―激動のモンゴルに生きる辺境のマイノリティ 国家に翻弄された人びと/森の生活・トナカイの放牧/季節ごとの移動の生活/トゥバからの亡命/ネグデル(組合)とトナカイ飼養/モンゴルの市場経済化による影響/新しい時代への適応/「観光」の生産者として 第3章 遊牧の国の首都ウランバートル 石井祥子 1 ウランバートルの成り立ち ウランバートルのいま/首都の歴史的変遷/モンゴルの独立・社会主義化、首都への人口移動/ウランバートルの都市化と市街地の形成/航空写真に見る社会主義時代のウランバートル市街地/民主化・市場経済化以降における市街地の拡大/ウランバートルにおけるゲル地区の位置づけ 2 ウランバートル市ナライハ区の炭鉱開発と少数民族カザフ カザフが住むナライハ/ナウルズ祭を訪ねて/カザフ語や伝統文化およびイスラームの復興 第4章 土地私有化の進展と遊牧民気質 石井祥子 1 土地私有化とガンダン寺ゲル地区の生活 市場経済化の総仕上げとしての土地私有化/土地私有化の進捗状況/ウランバートル中心部ガンダン寺ゲル地区における土地私有化/ガンダン寺ゲル地区の住民の声/ゲル地区の成功者/多様なゲル地区住民/ゲル地区住民にとっての市場経済化、土地私有化 2 土地私有化にまつわる問題と遊牧民気質 土地私有化にまつわる問題/土地私有化における諸問題の背景―都市における「遊牧的生活戦略」/遊牧民にとっての土地/「市場経済原理」と「遊牧的生活戦略」 第5章 ウランバートルの急速な都市化とゲル地区再開発計画 石井祥子 1 急速に変貌するウランバートル 都市インフラ大改造―日本の貢献/高速道路と新拠点の建設/ウランバートルの都市計画/深刻な大気汚染とその対策 2 ゲル地区再開発計画の進展 ゲル地区再開発計画の意義/再開発計画に対する住民の反応/集合住宅化に対する反対意見/モンゴルにおけるレジリエンスとは?/ゲル地区の再開発について/草原と都市とゲル地区 第6章 モンゴルの自然災害とレジリエンス 鈴木康弘 1 最も恐れられる寒雪害ゾド (森永由紀、篠田雅人) ゾドとは/さまざまなゾド/20世紀以降のゾド/ゾドの予報対策/地球温暖化とゾド 2 希に起きる大地震 モンゴルの地殻変動/20世紀の地震と活断層/今後の地震対策を考える 【column】永久凍土 檜山哲哉 エピローグ