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交通事故加害者家族の現状と支援~過失犯の家族へのアプローチ~

阿部 恭子  著

草場 裕之  監修
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価格 \2,420(税込)         
発行年月 2016年09月
出版社/提供元
現代人文社
言語 日本語
媒体 冊子
ページ数/巻数 151p
大きさ 21cm
ジャンル 和書/社会科学/経営学/マーケティング・商業
ISBN 9784877986476
商品コード 1022067373
NDC分類 681.3
基本件名 交通事故
本の性格 実務向け
新刊案内掲載月 2016年10月2週
商品URLhttps://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1022067373

著者紹介

阿部 恭子(著者):東北大学大学院法学研究科博士課程前期修了(法学修士)。NPO法人World Open Heart理事長。著書に「加害者家族支援の理論と実践」など。

内容

 NPO法人WorldOpenHeart(以下WHO)による交通事故加害者家族の実態調査を基に、交通事故を起こした場合、家族にどのような影響が及ぶのかを分析したものである。近年、「加害者家族」をテーマとした学術書なども出版されるようになったが、本来犯罪より身近な問題である交通事故の加害者家族に焦点を当てた先行研究は未だ存在していない。 第1章では、交通事故加害者家族102人の相談データから、交通事故加害者家族の傾向と問題点を明らかにする。WHOの調査によれば、交通死亡事故を起こした加害者の5%が自責の念から自殺に至っており、残された家族もさらなる自責の念から鬱病になるなど加害者側の家族の悲惨な現状が明らかとなっている。 第2章では、事故の影響が家族にどのように及ぶのか、第1節では加害者との関係性に焦点を当て、第2節では被害者との関係から、加害者家族が抱える葛藤について事例を基に検討する。 第3章では、事故の責任を巡って、家族が法的責任を問われる可能性について事例を基に検討する。最近では、未成年者が起こした事故の監督責任について、自転車事故の損害賠償請求で高額な賠償額が認められる傾向にある。社会的議論を呼んだ平成28年3月1日の認知症患者の事故について家族の監督責任が争われた最高裁判決は、今後、認知症の高齢者が起こした事故にどのような影響を与えるのか。認知症が疑われるドライバーのいる家族からの相談は年々増えている。さらに、宇都宮地判平成25年4月24日のてんかん患者によるクレーン車事故判決では、成人の子どもをもつ親としての法的責任(共同不法行為)が認められた。その後も、てんかん患者による交通事故は起きており、どのような影響を与えるのか。さらに、法的責任がないという場合であっても、道義的責任を果たすために家族はどのようなことができるのか、加害者家族の体験から検討する。 第4章では、1〜3章の検討を踏まえて、交通事故加害者家族への支援の在り方と、加害者家族の実態から見えてきた交通事故の予防的観点からの対策の必要性について検討する。 本書は、事例を多く掲載しており、交通事故加害者家族となってしまった当事者の指南書にもなりうるものである。その他、司法関係者、保険会社等、交通事故の紛争処理に関わる関係者に、「加害者家族」という新たな視点からの事故とその影響を理解するための教本となるとともに、交通安全指導や交通刑務所の贖罪指導のなかにも取り入れられていく教材となれば幸いである。

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