著者紹介
頼住光子(著者):1961年, 神奈川県生まれ. 専攻, 日本倫理思想史. 91年, 東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了. お茶の水大学大学院教授を経て, 2013年より, 東京大学大学院人文科学研究科教授. 著書, 『道元──自己・時間・世界はどのように成立するのか』(2005年), 『日本の仏教思想──原文で読む仏教入門』(2010年), 『道元の思想──大乗仏教の真髄を読み解く』(2011), 『正法眼蔵入門』(2014)ほか.
内容
■ 「さとり(証)」ってなんだろう。精進料理と茶の湯、武士の思想と和の精
神、聖徳太子と千利休、道元、一遍、盤珪……「さとり」の光をもって、日
本人および日本文化の根を照らし出す。
■ 自我への囚われを去って、すべてが互いに関係し合い、はたらき合う世界
に生きること──無自性 – 空 – 縁起。食物連鎖を離れることも、武士の倫
理も、聖徳太子の和の思想も、利休の茶の精神も、そして浄土思想も、すべ
てここにルーツをもっていた。
■ 「今ここ」に生きつつ、空 – 縁起の風光に賭ける。私たちを生かしている
ものの消息に開かれてありながら、それは狭隘な自我・自民族中心主義とは、
およそ懸け離れてあったものだ。