社会が現れるとき
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内容
目次
はじめに――「社会が現れるとき」と「社会学(のようなもの)が現れるとき」 1章「都市」をあることにする(若林幹夫) 1 「都市」をめぐる三つの言葉 2 「都市」という概念 3 「魚」はどう存在するか(あるいは、存在しないか) 4 「都市」はどのように社会的か 5 「大都市」――大きさの社会性 6 同時代的問題としての「都市」 7 「都市」をあることにする 2章 空間の自由/空間の桎梏――都市空間への複数のリアリティ(西野淑美) 1 都市の空間と社会 2 「地域」という括りのレリヴァンス 3 「都市生活」が反転するとき 4 「地域移動」をめぐるリアリティ 5 「社会」の現れ方の非均質性 3章 近代日本における地位達成と地域の関係――戦前期生まれ著名人の中等教育歴が語るもの(中村牧子) 1 問い――「著名人」はどこで生まれたか 2 なぜ中等教育に注目するのか 3 中学校教育の地域間格差 4 エリート著名人を生み出す教育の仕組み 5 エリートの出自と活躍領域の分化 6 非エリート著名人を生み出す教育の仕組み 7 戦前期日本社会の「階層構造」のすがた 4章「商売の街」の形成と継承――(五十嵐 泰正) 1 はじめに――アメ横というアポリア 2 アメ横における「歴史の不在」 3 「アメ横商法」とエスニシティをめぐる視線の交錯 4 変わり続ける「商売の街」 5 「商売の街」を継ぐということ 5章 誰が自治体再編を決めるのか――「平成の大合併」における住民投票の再検討(砂原庸介) 1 はじめに 2 「平成の大合併」における住民投票の位置づけ 3 住民投票の分析 4 おわりに 6章「素人」の笑いとはなにか――戦後日本社会とテレビが交わるところ(太田省一) 1 はじめに 2 テレビ東京から見る戦後 3 「素人」という鉱脈 4 社会的存在としての「素人」 5 おわりに 7章 でも、社会学をしている――(立岩 真也) 1 それでも社会学をしていると思う1 2 そう思う2――社会の分かれ目について 3 社会的、はパスした 4 もっとよくできた話も結局パスした 5 代わりに 6 ポスト、もパスした 7 戻って、素朴唯物論は使えるかもしれない 8章 社会が溶ける?――日韓における少子高齢化の日常化とジレンマ(相馬直子) 1 少子高齢化の日常化 2 少子高齢化社会があらわれるとき――少子高齢化社会におけるケアをめぐる問い 3 日韓社会の対応 4 「よさ」のコンセンサスなきジレンマ 5 二重化される課題と新たなケアワークの発見――ダブルケアがあらわれる瞬間 6 おわりに 9章 境界としての「思想」――歴史社会学的試論(遠藤知巳) 1 「思想」――弱化と分散 2 思想研究は何をしているか 3 「社会思想」と社会学――隠れた相互依存 4 「思想」の言説史へ 5 一九世紀西欧(1)――「思想」の実体化と発展史観 6 一九世紀西欧(2)「真理」の分立と潜在的相対化 7 日本社会と「思想」 10章 想像のネットワーク――シベリア・極東ユダヤ人におけるアイデンティティのアウトソーシング(鶴見太郎) 1 共同体のアナロジーを超えて 2 相補的ハイブリッド性 3 シベリアのシオニスト 4 ハルビンのシオニズム 5 むすび 11章 映画に社会が現れるとき――「ステラ・ダラス』(一九三七)の言語ゲーム(中村 秀之) 1 映画の解釈という言語ゲーム 2 フェミニズム映画理論の「女性観客」 3 スタンリー・カヴェルの「普通の人間」 4 〈階級の顕な傷〉と映画の身体 12章 自己産出系のセマンティクス――あるいは沈黙論の新たな試み(佐藤俊樹) 1 自己産出系論の公理系 2 理解社会学の二つのモデル 3 自己産出系の syntax との対応 4 制度の挙動をとらえる 5 「行為の意味を理解する」ことの定式化 6 ベイズ統計学の枠組み 7 行為の意味を推定する 8 解釈度を変数としてあつかう 9 自己産出系と解釈度 10 意味を「分布」としてあつかう 11 沈黙を測る 社会は現れる――一つの解題として(佐藤俊樹) How We Meet Society? Mikio WAKABAYASHI, Shin’ya TATEIWA, and Toshiki SATO, Editors