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中井久夫集<7> 災害と日本人

中井 久夫  著

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価格 \3,960(税込)         
発行年月 2018年07月
出版社/提供元
みすず書房
言語 日本語
媒体 冊子
ページ数/巻数 322p
大きさ 20cm
ジャンル 和書/生命科学、医学、農学/神経・精神科学/神経科学
ISBN 9784622085775
商品コード 1027689401
NDC分類 493.7
基本件名 精神医学
本の性格 学術書
新刊案内掲載月 2018年08月3週
商品URLhttps://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1027689401

著者紹介

中井 久夫(著者):1934年奈良県生まれ。京都大学医学部卒業。神戸大学名誉教授。精神科医。著書に「分裂病と人類」「精神科治療の覚書」「関与と観察」など。

内容

被害者の側に立つこと、被害者との同一視は、私たちの荷を軽くしてくれ、私たちの加害者的側面を一時忘れさせ、私たちを正義の側に立たせてくれる。それは、たとえば、過去の戦争における加害者としての日本の人間であるという事実の忘却である。私たちの心の奥底には、浮上すれば病的症状となるような漠然とした被害者意識が潜在しているかもしれない。その昇華ということもありうる。社会的にも、現在、わが国におけるほとんど唯一の国民的一致点は「被害者の尊重」である。これに反対するものはいない。ではなぜ、たとえば犯罪被害者が無視されてきたのか。司法からすれば、犯罪とは国家共同体に対してなされるものであり、被害者は極言すれば、反国家的行為の単なる舞台であり、せいぜい証言者にすぎなかった。その一面性を問題にするのでなければ、表面的な、利用されやすい庶民的正義感のはけ口に終わるおそれがある。(「トラウマとその治療経験」2000)被害者と同時に加害者理解を進めることも忘れてはなるまい。これは車の両輪である。「極悪非道」や「心の闇」で片づけて済むことではない。ある女性弁護士は「罪状を争わない事件では被告が納得して刑に服せる内容の判決を得るように努力する」と基本方針を語り、私はこの考え方に共鳴して共に働いたことがある。そのような判決文をかちとることはきわめて「治療的」だと私は思う。さもなくば、せっかくの服役が稔らず、出所後の再犯率が高いであろう。(「ある家裁調査官と一精神科医」2002)災害によるトラウマをたどり、そこから他者の心の傷への共感が生まれる可能性を説いた表題作他「トラウマとその治療経験」等31編。

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