内容
〈「あの人がいなかったら今の歌舞伎囃子はない」──。伝統を守り、次代へ繋いだ一人の女性の闘いの日々〉〈女人禁制の歌舞伎の世界でたくましく生きた一人の女〉歌舞伎の上演に欠くことができない音楽「歌舞伎囃子」。男子の後継者に恵まれなかった田中流の家元・11世田中傳左衛門(人間国宝)は江戸時代から続く家の芸を愛娘・佐太郎に託す決断をします。父の厳しい教えを受けながら女人禁制の歌舞伎の世界で歯を食いしばって生き、三人の息子(亀井広忠、13世田中傳左衛門、田中傳次郎)を一流の演奏者として鍛え上げた佐太郎。古稀を迎えた今、その半生を振り返ります。2017年月刊『なごみ』の連載を大幅に加筆。夫で能楽囃子葛野流大鼓方の亀井忠雄(人間国宝)、息子たちのインタビューなども交えて単行本化。