内容
タイ・ミャンマー国境の町で30年にわたり、難民・移民に無償診療を続けている「メータオ・クリニック」。
国際ボランティアとして、体当たりで赴任した日本の医療従事者たちが、現地スタッフや患者とともに戸惑い、傷つき、成長し、交流と支援を続けた10年間を綴った珠玉のリレーエッセイ。
◎渋谷敦志氏(本書収録「いのちを支えるつながりを見つめて」より)
〈医療がそこにある。医療者がそこにいる。ただそれだけの事実が、わらにもすがる思いでやってくる患者たちをどれだけ勇気づけていることだろう。「メータオ・クリニック支援の会(JAM)」の活動は、国境という困難を生きる民、文字通りの「難民」たちの生を肯定するエールになっていたし、参加するメンバー一人ひとりが思いやりと行動力を兼ねそなえた愛すべきヒューマニストだと思う。ただ、裏方から支えることに徹するJAMにはそのことを鼻にかけてアピールする人はいないので、代わりにぼくがメンバーへの敬意も込めて、この場で読者に伝えておきたい。〉
◎リレーエッセイ執筆者
田邉文(医師/2009〜2010年)、前川由佳(看護師・保健師/2011〜2013年)、田畑彩生(看護師・保健師/2012〜2014年)、鈴木みどり(看護師/2014〜2015年)、神谷友子(看護師・保健師/2015〜2017年)、齊藤つばさ(看護師・保健師/2017〜2018年)、梶藍子(看護師/2007〜2009年)
〈それぞれの人がそれぞれの事情を抱えながら、国境を越えクリニックにやって来る。帰る場所がある人もない人も、ここで治療し、働き、ほかの患者を助け、まるでここが自分の家のように生活している。〉…………本文より