中世日本文学の探求
日下 力 著
内容
目次
まえがき 一 軍記物語とは何か 一 物語性 二 軍記性 三 合戦譚の構築 四 実感の収斂 五 叙事詩との位相差 二 現実と物語世界――軍記物語の場合―― 一 世の実相 二 現実の反映 三 女性のうらみ 四 男女の心のみぞ 五 戦争被害者としての女性 三 平氏ゆかりの人びとと『平家物語』――清盛外孫の家系―― 一 花山院家の危機 二 四条家の繁栄 三 坊門家の限界 四 『平家物語』の表現 四 国民文学としてのイラン叙事詩『シャー・ナーメ(王書)』と『平家物語』 一 ソフラーブの悲劇 二 敦盛の悲劇との対比 三 異国との共存と闘争のモチーフ 四 国民文学としての資質の違い 五 源頼政の挙兵と歌世界 一 反平家貴族、源資賢との交流 二 頼政追憶歌群より 三 老いの自覚 四 恋の清算 六 源義経――史実と伝説と―― 一 『吾妻鏡』の一の谷合戦記述 二 合戦の実態 三 後白河上皇の計算 四 合戦前後の記録から 五 平家はなぜ敗れたか 六 義経伝説の誕生 七 闇を背負った男 七 補説・一の谷合戦の虚実 一 私説開陳の経緯 二 その後の動向 三 研究史をさかのぼる 四 宗盛返書の読解 八 金刀比羅本系統『保元物語』の特質――物語としての達成―― 一 御国争い物語の固定化 二 源氏悲劇の深化 (1)為義の新たな造型 (2)義朝の新たな造型 三 為朝像の後退 九 『平治物語』諸テクストの作者像 一 原作者(起筆作者)像 二 増補作者像 三 金刀比羅本段階作者像 四 流布本段階作者像 一〇 『平治物語』の内部構造 一 序文の典拠 二 源氏話柄への消極性 三 叙述姿勢の屈折 一一 『平治物語』――男の世界、女の世界―― 一 正義に命をかける男たち 二 五百余騎を圧倒する十七騎 三 煩悶する母 一二 山岸文庫蔵『平治物語』解題 一三 前田家本『承久記』本文の位相 一 不審な叙述―冒頭より― 二 流布本改変の痕跡・上巻の続き 三 流布本改変の痕跡・下巻 四 慈光寺本の影 五 悲話の縮小と泰時像の拡大 一四 心象としての鎌倉――前期軍記物語の世界から―― 一 都からの距離 二 「引出物」―東国の豊かさ― 三 都人の見た鎌倉 四 再生の地 一五 『平家物語』と仏教 一 一九七〇年代 二 一九八〇年代 三 一九九〇年代 一六 『平家物語』人物論 一 義経の二つの顔 二 小宰相 三 清盛と重盛 四 後白河院と高倉帝 五 建礼門院と安徳帝 一七 式子内親王の歌における鳥のメタファー 一 暗示性 二 冬の鴨 三 氷 四 述懐歌 五 隠喩 一八 『とはずがたり』の鐘――その寓意性をめぐって―― 一九 五十嵐力博士の軍記研究・覚書 一 著述の全体像 二 「創造批評」の摂取 三 『軍記物語研究』「前講」 四 『軍記物語研究』「後講」 五 『平家物語の新研究』と『戦記文学』 六 今日における評価 二〇 明治期における古典学者 五十嵐力――表現理論に支えられた修辞学―― 一 再認識すべき功績 二 文章表現理論の構築 三 国文学史の執筆 二一 軍記物語と能 一 『清経』『通盛』 二 『俊寛』『知章』 三 『敦盛』『朝長』 二二 朝長の影を追う――能『朝長』を契機として―― 二三 心敬の愛用語「胸」考 一 愛用の実態 二 秀句と「胸」 三 「胸」の本質 二四 『徒然草』の鑑賞(第一六七段~第一七六段) 二五 書評 山下宏明著『軍記物語の方法』 和田英道著『明徳記・校本と基礎的研究』 松尾葦江著『軍記物語論究』 栃木孝惟著『軍記物語形成史序説』 佐伯真一著『建礼門院という悲劇』 二六 エッセイ マリア観音など断想三題 「セイガン、クダクル」 仏の姿 イタリアの叙事詩人 あとがき