化学がめざすもの
馬場 正昭, 廣田 襄 著
内容
目次
本書がめざすもの まえがき 第Ⅰ部 化学の生い立ち 1 化学はなぜ生まれたのか a)人間の欲望を満たすために b)生きていくうえで必要なもの 2 化学のおもしろさ a)知的好奇心の対象としての化学 b)物質の理解と鍵となる式 3 化学の源流 a)ギリシャ人の物質観と元素、原子の概念 b)錬金術と医化学 4 近代化学への道 a)気体化学の発展 b)ラヴォアジェによる化学革命 c)原子説 d)電池の発明と化学 e)アヴォガドロの仮説と分子 f)元素の周期性の発見と周期表 5 生気論から生命の化学へ a)有機化学のめざましい発展 b)炭素の正四面体説と立体化学 c)有機化合物の物理的な理解 d)高分子の開発 e)生命現象を化学で解き明かす f)光合成 6 熱の化学から、化学統計学へ a)熱と仕事とエントロピー b)粒子モデルと統計論 c)ボルツマン分布 d)熱力学から物理化学と分析化学が発展した 7 量子論の誕生 a)古典物理学では説明できない現象 b)粒子性と波動性 c)化学結合はなぜできるのか 8 化学反応の探求 a)化学反応を起こしたい b)身近で基本的な化学反応 c)化学反応の理論的な研究 d)界面での化学反応 e)核反応と放射能 COLUMN 1 近代化学の日本への導入と宇田川榕菴 COLUMN 2 近代化学の創始者:ラヴォアジェ COLUMN 3 近代的な原子説の創始者:ドルトン COLUMN 4 マイケル・ファラデー COLUMN 5 メンデレーエフと元素の周期表 COLUMN 6 リービッヒと化学教育の改革 COLUMN 7 ライナス・ポーリングとタンパク質およびDNAの構造 COLUMN 8 ボルツマンと原子・分子の実在性 COLUMN 9 ラングミュアと表面・界面化学の発展 COLUMN 10 マリー・キュリーの栄光と悲劇 COLUMN 11 ラザフォードと放射能の研究 第Ⅱ部 化学のいま 1 現代の化学とはどのようなものなのだろう a)自然科学の4 分野の中での化学の位置 b)現実の「もの」と理論上の「物質」 2 コンピューターを使った理論化学 a)分子の構造とエネルギーを計算する b)分子シミュレーション― 凝縮相についての計算機実験 3 化学の研究は観測から a)回折法― 物質の構造とその変化を探る b)分子分光― 光を使って物質を解き明かす c)磁気共鳴― スピンを使って観測する d)顕微鏡― 物質の微細構造を観察する 4 化学における分析 a)元素分析― 物質の構成元素とその割合を調べる b)質量分析― 質量別の成分量を調べる c)赤外分光分析法― 分子の指紋を調べる 5 化学反応の最先端研究 a)光励起分子の反応の追跡 b)素反応過程とは c)反応機構の理論的理解 d)高機能触媒 6 新しい素材を創る材料化学 a)新元素、新分子、新物質 b)特殊な電気伝導性 c)光と色の化学素材 d)プラスチック e)界面を探って新たな物質を創り出す 7 有機分子と生命の化学 a)有機合成法の飛躍的な進歩 b)超分子 c)天然物を合成する d)RNAとDNAの構造と働き COLUMN 1 量子化学理論計算のソフトウェア COLUMN 2 光はどっちを通過したのか? COLUMN 3 ラウターバーとMRI の発明 COLUMN 4 宇宙からの地上の観測、地上での宇宙の観測 COLUMN 5 放射性同位体分析による年代測定 COLUMN 6 ロザリンド・フランクリンとDNAの構造解明 第Ⅲ部 化学の応用と社会 1 近代文明は物質に支えられている a)化学産業の果たす役割 b)アンモニアの合成が近代社会を築いた c)ナイロンができて生活が変わった 2 物質資源の利用とその廃棄 a)化石燃料(天然ガス、石炭、石油) b)金属(コモンメタルとレアメタル) c)プラスチック(合成樹脂) d)自然の資源(空気、水、樹木) 3 地球環境とエネルギー a)地球上での物質の変化と循環 b)化学物質と地球環境―環境化学― c)我が国の電源構成 d)原子力発電か再生可能エネルギーか 4 健康と医療 a)医療に使われる化学物質 b)ビタミンとは何か c)人体の内部を化学で調べる 5 これからの化学と社会は a)IT機器とAIに依存する社会 b)化学物質と自然の共存 c)我が国の化学と国際社会 d)基礎学術研究をベースに21 世紀の化学を COLUMN 1 高分子(ポリマー)化学と社会 COLUMN 2 燃料電池、太陽電池、リチウム電池 あとがき 図版・写真出典 索 引