新訳更級日記
島内 景二 著
著者紹介
内容
目次
はじめに Ⅰ 東海道紀行……憧れは西へ(十三歳) 物語の待つ都へ 取り残された薬師仏 雨の日の旅立ち 水底の門 くろとの浜 月光哀歌 東国に下り住んだ皇女様 隅田川を渡る 地名のおかしみ 夢幻のクレバス 駿河の国に入る 神々が集う富士の山 浜名の橋 三河の国の旅 恐るべき満ち潮と、足柄幻影 晴れやらぬ雪の逗留 来迎の神秘 Ⅱ 広壮な屋敷で紡がれる夢……物語愛づる少女(十三歳から十七歳) 物語への飢渇感と、焼け石に水 継母との別れ 相次いだ春の訃報 『源氏物語』を読む夢を叶える 十四歳の夏秋 天照御神 猫に生まれ変わった姫君 『長恨歌』と七夕 死を思う姉と、荻の葉情歌 自宅の火災と、そして猫の死 狭い家に移る 飛び去りし姉 死の波紋を描く物語 悲しみの連珠 吉野を思う Ⅲ 東山での日々……淡い恋の記憶(十八歳から二十四歳) 父親の不遇を、恋人と悲しむ 東山に移る 山の井の雫 物語の女たちを憶う 時鳥を独り占め 東山の秋 心の友は、どこに 東山から戻る 東山再訪 露の哀れ 継母への抗議 物語への永遠なる憧れ Ⅳ 父、遠くへ去りぬ……寄せては返す夢のさざ波(二十五歳から二十八歳) 「常陸の介」になった父 秋の別れ 太秦で父の無事を祈る 散乱たり、荻の葉。そして、夢もまた 子忍びの森 清水寺で見た夢 長谷寺の鏡の夢 天照御神 修学院の尼 Ⅴ 祐子内親王家への宮仕え……文化サロンの萌芽(二十九歳から三十二歳) 父、帰る 西山の山荘 宮仕えの誘い 初めての出仕 師走の里下がり 前世の夢 御仏名 Ⅵ 結婚と貴公子……世俗的な夫と、物語的な男(三十三歳から三十七歳) 結婚 物語への疑い 内侍所で天照御神を拝む 冬の女房生活日誌・その一 冬の女房生活日誌・その二 冬の女房生活日誌・その三 宮廷の風雅、殿上人との季節の語らい 時雨の夜のなごり Ⅶ 物詣の旅……宗教的な旅の思い出(三十八歳から四十九歳) 家刀自の自由を、石山詣 都の華やぎを後に、初瀬詣 宇治川の網代 鞍馬の春秋 石山寺、再訪 初瀬、再訪 家庭生活の満足と、期待 越前に下った女友達 西山で孤独を思う 太秦に籠もる 同僚の女房たちとの友情 和泉の国への舟旅 Ⅷ 姨捨山の月……物語を求め続けて、今(五十歳から五十二歳) 夫、信濃の国司となる 夫と息子の旅立ち、不吉な人魂 夫の死 夢は、みんな壊れた 阿弥陀仏の夢 更級の姨捨山 孤独を生きる 移り行く刻と、人生の悲哀 藤原定家の奥書・その一 藤原定家の奥書・その二 解説