貴族日記が描く京(みやこ)の災害
片平博文 著
内容
目次
はじめに 第1編 歴史時代の災害に学ぶ-平安の京に残された記録から- 第1章 京都で描く歴史時代の災害 災害と京都/災害の実態を何から知るか?/データベース構築の注意点 第2章 歴史災害のとらえ方 災害によって生じた現象の範囲や位置関係を探る/オーバーレイ(重ね合わせ)によって災害や災害範囲の傾向を探る/異なる時間軸の別情報と関連させて災害の実態を探る/災害から過去の空間の意味を探る 第2編 京の人びとを震撼させた「火」の連鎖 第3章 火災の季節と恐るべき火の威力 春から初夏にも多かった火災/驚くべき火災の延焼力 第4章 市街地の3分の1を一気に焼き尽くした大火災―安元の大火― 貴族日記や文学作品に残された大火災/安元の大火の実態/南東方向から北西に広がった大火/新暦6月上旬の天候と大火 第5章 鴨川を越えた火災―建長元年三月二十三日の大火― 平安京と火災/前月に発生した閑院の火災/建長 元年三月二十三日の大火/5月の京都に吹く風の特徴/火の連鎖/火と復旧と 第3編 「水」の襲来と京を流れた河川 第6章 洪水の季節と歴史―8世紀末~14世紀末の記録から― 河川と洪水/洪水はいつ発生したか/平安京とその周辺における洪水の歴史/頻発期における洪水の実態 第7章 白河法皇と「賀茂河の水」 白河法皇と「天下三不如意」/「賀茂河の水」の意味/白河法皇と宇多川の流れ/「天下三不如意」の意味 第8章 平安京北郊における有栖川の流れ 平安京の北郊/『年中行事絵巻』にみられる小河川/大徳寺の中を流れていた川/船岡山の東麓から斎院付近 第9章 12~13世紀における平安京北辺の風景とその変化―西洞院川と「小川」との関係― 平安京北辺部の風景/左近馬場とその付近の風景/北辺部にあった貴族邸とその周辺部の風景/平安京北辺部に流入していた小河川/河川の付け替えと「小川」の誕生/河川の付け替えと行願寺 第10章 同時に溢れた京域内の河川―貞和五年(1349)における堀川および鴨川の洪水― 『松亜記』の記録/六月十一日における忠嗣の行動と天気の変化/豪雨と洪水の実態/同日に発生した鴨川の洪水/タイプの異なる2つの洪水/堀川・小川の上流 第4編 京を直撃した「風」の猛威 第11章 京を襲った歴史時代の台風―9~14世紀のデータベースから― はじめに/台風に関するデータの収集/台風数の変化と襲来の季節/期間別・旬別にみた京都への台風の襲来率とその変化/台風襲来数の変化と気候変動との関係/おわりに 第12章 京の歴史に残った個性的な台風―個別の台風からの分析― はじめに/京都を襲ったおもな台風/暴風による被害と復旧に向けての具体的な計画/「西」と「東」の台風/おわりに 第5編 京の災害と被害に学ぶ知恵 第13章 激しい「水」と「旱」の相克―洪水と旱魃との関係― 災害を複合的にとらえる/洪水や旱魃はいつ発生したか?/1年の中の洪水と旱魃/洪水と旱魃の関連性 第14章 終わりなき災害への対応と都市祭礼 歴史時代における「土木工事」の実態/京に暮らした人々の「防災行動」/祈雨・止雨等の奉幣と平安京の祭礼/祭礼が実施された時期/祭礼の実施と災害の発生頻度/稲荷祭・祇園御霊会と鴨川/災害と祭礼の実施 第15章 歴史時代の災害から何を学ぶか?―終章に代えて― あとがき/索引