《類似》でつなぐ力を育てる中学校国語科授業の研究
齋藤 隆彦 著
内容
目次
はじめに 凡例 序章 研究の目的と方法 第1節 研究の目的 第2節 研究の方法 第1章 《類似》でつなぐ力に関する言説の検討 第1節 問題の所在 第2節 《類似》への評価の概観 第3節 《類似》の構造 1 「抽象化・具体化」と《類似》の関係 2 《類似》と《差異》の関係 第4節 《類似》と思考 1 《類似》と認識・思考 2 《類似》と言語と創造性 第5節 《類似》と「問題解決」 第6節 結論 第2章 国語科教育における《類似》でつなぐ力の位置 第1節 問題の所在 第2節 国語科教育と《類似》でつなぐ力に重なる言葉 1 国語科教育と「レトリック」 1.1 「レトリック」の日本における盛衰 1.2 「レトリック」の復活 2 国語科教科教育関係の辞典類と《類似》でつなぐ力 2.1 『国語教育指導用語辞典』 2.2 『文芸研 国語教育事典』『文芸研・新国語教育事典』 2.3 『 国語科重要用語 300 の基礎知識』(野地潤家編)『国語科重要用語300 の基礎知識』(大槻和夫編)『国語科重要用語事典』(髙木まさき他編) 2.4 『 国語科教育学の成果と展望』『国語科教育学の成果と展望Ⅱ』 2.5 国語科教育と《類似》でつなぐ力に重なる言葉のまとめ 第3節 国語科系統指導と《類似》でつなぐ力 1 西郷竹彦「認識と表現の力を育てる系統指導」と《類似》でつなぐ力 2 浜本純逸「国語科で育てたい思考力」と《類似》でつなぐ力 3 国語科系統指導と《類似》でつなぐ力のまとめ 第4節 先行する実践・研究と《類似》でつなぐ力 1 「読むこと」の活動と《類似》でつなぐ力 1.1 文学(詩)の授業と《類似》でつなぐ力 1.1.1 「 《類似》でつなぐことで読む」(「諷喩」として読む)実践 1.1.2 諷喩として読む「ぼろぼろな駝鳥」実践(岩田道雄の実践) 1.1.3 諷喩としても読む「ぼろぼろな駝鳥」実践(無着成恭の実践) 1.1.4 作品内に空欄を設け、《類似》でつなぐ力で空欄を補充させる実践 1.1.5 「つづけよみ」「重ね読み」と《類似》でつなぐ力 1.1.6 「 十人十色を生かす文学教育」と《類似》でつなぐ力 1.1.7 文学を読むことの研究と《類似》でつなぐ力 1.2 「説明的文章」の授業と《類似》でつなぐ力 1.2.1 「読解指導」と《類似》でつなぐ力 1.2.1.1 「 読解指導」(類推して読む)と《類似》でつなぐ力 1.2.1.2 「 読解指導」(要旨にまとめる)と《類似》でつなぐ力 1.2.2 「 認識の力」を育てるための「説明的文章」の授業と《類似》でつなぐ力 1.2.3 「吟味して読む」と《類似》でつなぐ力 1.3 「読むこと」の活動と《類似》でつなぐ力のまとめ 2 「書くこと」の活動と《類似》でつなぐ力 2.1 詩を書くことと《類似》でつなぐ力 2.1.1 山際鈴子の詩創作指導と《類似》でつなぐ力 2.2 「説明的文章」を書くことと《類似》でつなぐ力 2.2.1 櫻本明美「説明的表現」の指導と《類似》でつなぐ力 2.3 レトリック(発想) 「枠組み活用作文」と《類似》でつなぐ力 2.4 レトリック(発想) 「トピカ」と《類似》でつなぐ力 2.4.1 「類似による正義原則」 2.4.2 「譬え」 2.4.2 レトリック式作文練習法と《類似》でつなぐ力 2.4.3 香西の実践の特徴 2.5 「似たもの探し」と《類似》でつなぐ力 2.6 思考力の構造化・育成の系統化と《類似》でつなぐ力 2.7 「書くこと」の活動と《類似》でつなぐ力のまとめ 3 「見ること」の活動と《類似》でつなぐ力 3.1 国語科と「見ること」 3.2 「見ること」と《類似》でつなぐこと 3.3 看図と《類似》でつなぐ力 3.4 「韓滉『五牛図』を用いた授業」 3.4.1 ステップ2 現在の自己分析 3.4.2 ステップ3 五牛の性格分析 3.4.3 ステップ4 将来の自己分析 3.4.4 Bの文章の特徴とそこから考える本実践の特徴 3.4.5 Aの文章の特徴とそこから考える本実践の特徴 3.4.6 「 韓滉『五牛図』を用いた授業」と他の「看図」授業の違い 3.4.7 看図と《類似》でつなぐことのまとめ 3.5 「見ること」の活動と《類似》でつなぐ力のまとめ 4 《類似》でつなぐ力の育成を支える「多数性」「飛躍」の保障の文化 第5節 結論 第6節 課題 第3章 《類似》でつなぐ力の育成の実践仮説の構築 1 多様な場面で多様な内容に関して多様な活動で繰り返し取り組む 2 抽象化と具体化の意識化とその力の育成 3 「 多様な活動」の構造化:《類似》の構造をもとにした活動内容の相の分類 4 「 多様な活動」の構造化:《類似》の起動形態をもとにした活動内容の相の分類 5 《類似》の性格(「雑草のような多数性」)を考慮した活動形態 6 「自立した《類似》の使い手」育成のための意識と振る舞い 7 《類似》でつなぐ力の育成の実践仮説の整理 第4章 《類似》でつなぐ力の育成の実践的提案(1) ―「抽象・具体概念の学習」の考察 第1節 問題の所在 1 「抽象のハシゴ」の昇降の力 2 「抽象・具体の力」をつける先行実践 3 「抽象・具体を見分ける力」の現状 4 問題の所在 第2節 「抽象・具体の力」をつける国語科授業の概要 1 活動の目標 2 目標達成のための具体的方法 3 実践の概要(平成23年度、24年度) 第3節 「抽象・具体の力」をつける国語科授業の実際 1 「二つに分ける」活動 1.1 単語レベルで「二つに分ける」 1.2 文レベルで「二つに分ける」 1.3 段落レベルで「二つに分ける」 2 文章の構造を読み取るための「ツリー」 2.1 単語レベルでツリー(「抽象・具体のツリー」(空欄補充)) 2.2 文レベルでツリー 2.3 段落レベルでツリー 3 定期試験による段落ツリー問題の連続化 4 「読んでみて」(5連続) 5 「プレゼン演習」 テーマ「好きな○○」 第4節 結論 1 本実践の構造 2 生徒の変容 3 「抽象・具体の力」をつける実践の新しい姿 第5節 課題 第5章 《類似》でつなぐ力の育成の実践的提案(2) ― 《類似》でつなぐ力と「話す」「聞く」「書く」「読む」「見る」活動(基礎編) 第1節 問題の所在 第2節 「《類似》指示あり・テクスト提示あり」の具体的活動 1 実践例の提示とその考察 1.1 「初恋」(尾崎翠)をもとに不思議な国へ行って帰る物語探し(2年時) 1.2 夏休みの課題「不思議な世界に行って帰る物語」探し 1.3 「不思議な世界へ行って帰る物語」の授業を越えて 1.4 「水もれタンクと日本の教育」(3年時) 1.4.1 実践の概要 1.4.2 実践の内容 1.5 「文章カスタマイズ」 1.6 「成方の笛」の《似てる》をつくる(3年時) 1.6.1 実践の概要 1.6.2 実践の内容 第3節 具体的な活動を通しての考察 1 「《類似》指示あり・テクスト提示あり」の活動の特徴 1.1 教材のジャンルの多様さ 1.2 活動の多様さ 2 生徒が自分たちがつなぐ《類似》の多様性に気づく 第4節 結論 第5節 課題 第6章 《類似》でつなぐ力の育成の実践的提案(3) ― 《類似》でつなぐ力と「話す」「聞く」「書く」「読む」「見る」活動(応用編) 第1節 問題の所在 第2節 「《類似》明示あり、テクスト・対応関係提示なし」の活動で可能性として想定されるものとその特徴 1 授業形態の考察 1.1 個別指導 1.2 一斉授業(問答形式) 1.3 班活動 1.4 単元学習 2 「《類似》明示あり、テクスト・対応関係提示なし」の活動で可能性として想定されるものとその特徴のまとめ 第3節 「プレゼン演習」の形態とその特徴 1 「プレゼン演習」の特徴 2 展開の概略(実施したテーマ) 第4節 「話すこと・聞くこと」の活動に関する先行研究の知見 1 「話すこと・聞くこと」の力を「所与の力」と考える弊害 2 「産出」と「受容」の関係 3 「話すこと・聞くこと」の意義と「コミュニケーションについてのかまえ」 4 教室における「話し手」「聞き手」の実態 5 「話すこと・聞くこと」の先行研究のまとめと「プレゼン演習」との関係 第5節 「プレゼン演習」と《類似》でつなぐ力 1 生徒の作品とその分析・考察 1.1 《類似》でのつなぎ方 1.2 範列性の広がり 1.3 「プレゼン演習」と生徒の《類似》でつなぐ力の関係 第6節 結論 第7節 課題 第7章 《類似》でつなぐ力の育成の実践的提案(4) ― 《類似》でつなぐ力と「話す」「聞く」「書く」「読む」「見る」活動(発展編) 第1節 問題の所在 第2節 実践の概要 1 「不完全なテクスト」をもとに既知の事物に《類似》を探す 1.1 「なんのこっちゃ?(クイズ作り)」(1年生) 1.2 「 誰の手紙(「竹取物語」かぐや姫の手紙)」(1年生) 1.3 「 なんのこっちゃ?(「ディズニーランドという聖地」を伏せ字で読む)」(3 年生) 2 「完全なテクスト」をもとに既知の事物に《類似》を探す 2.1 「どんな写真・何の写真」 2.1.1 《類似》の認識を「写真」で経験させる授業について 2.1.2 授業の構想 2.1.3 授業の実際 2.2 「読んでみて」(5連続) 2.3 「 突然ですが『クリスマスの仕事』をなぜ今読もうとしたのか」 2.4 「突然ですが『テニス少年相談』の活動の意図は?」 第3節 考察 1 特徴 2 「現前の事物」を《類似》でつなぐ対象とする構え 3 「問題解決」と「何かに気づく前の状態」という構え 第4節 結論 第5節 課題 第8章 《類似》でつなぐ力の育成の実践的提案(5) ― 《類似》の授業を支える環境の条件と生徒の反応の評価 第1節 問題の所在 第2節 《類似》と「学力」 1 《類似》の授業と生徒の反応の評価 1.1 《類似》でつなぐことと「正解」の関係 1.2 《類似》と教師の評価の関係と望まれる授業の形 2 学習観と授業の考察 2.1 教師と生徒と知識の関係 2.2 「探求のレトリック」と「奴隷のレトリック」 2.3 「できる」と「わかる」、「分かち合う」 2.4 「 社会構成主義学習観」による授業 「ワークショップ」の思想と方法 2.5 「探求の共同体」は可謬主義 2.6 「変化の激しい社会」が求める「学力」 2.7 評価について デューイの単元学習 3 《類似》でつなぐことと授業と評価 第3節 「全員発表」という方法「創造的選択活動」について 1 「全員発表活動」の構造と具体的展開 1.1 「全員発表活動」(一言自己紹介、空欄補充活動など) 1.2 「全員意見プリント」 1.3 「プレゼン演習」 2 「全員発表活動」の先行実践・先行研究 3 「全員発表活動」のまとめ 第4節 「創造的改変活動」~「文章カスタマイズ」 第5節 結論 第6節 課題 第9章 《類似》でつなぐ力の育成の国語科実践理論 第1節 問題の所在 第2節 考察 「中学生に《類似》でつなぐ力を育成する授業」の実際と理論 1 3年間の実践の概要 2 3年間の実践終盤時における生徒の反応 2.1 国語科の授業内で、教師による《類似》の明示とテクストの提示ありの場合において《類似》でつなぐ力を発揮した例 2.2 国語科の授業の一環であり、教師による《類似》の明示はあるが、テクストの提示はなく、授業外において生徒自身で《類似》でつなぐ力を発揮した例 2.3 国語科の授業外において、教師による《類似》の明示もテクストの提示もなしに《類似》でつなぐ力を発揮した例 3 3年間の実践の特徴と実践理論 3.1 《類似》の活動の繰り返しが活動を保障する 3.2 繰り返しによって得られること 3.3 生徒自身が活動を組む力 自立につなぐ教師の存在のフェイドアウト 3.4 教室における圧力を取り払う 3.5 実践理論の整理 3.6 本研究の国語科教育学へ