唐王朝の身分制支配と「百姓」(汲古叢書 158)
山根 清志 著
内容
目次
例 言 第一部 唐代良賤制と百姓及び私賤人身分 Ⅰ 唐の良賤制 第一章 唐における良賤制と在地の身分的諸関係 一 はじめに 二 隋唐の「国家的身分制度」――良賤制 (1)成立過程 (2)唐の良賤制 三 在地における身分的諸関係 (1)奴婢的奴隷制 (2)新たな奴隷制と雇傭人・(佃人) 四 おわりに 第二章 唐の良賤制をめぐる二、三の問題 一 はじめに 二 良賤制を中心にみた従来の諸研究 三 隋唐良賤制の性格――それ以前との対比において 四 おわりに 第三章 唐代良賤制における良と賤とを分かつ「基準」をめぐって 一 礼的秩序と良賤制とが一致するとされる西嶋説について 二 良民の資格を規定した条文は存在しないのだろうか 三 「良民一般」概念と「一般良民」概念 Ⅱ 唐代良賤制下の百姓及び私賤人身分 第一章 唐の「百姓」身分について 一 はじめに 二 良賤制と「百姓」身分 三 政策支配と「百姓」身分 (1)「百姓」といわゆる均田農民概念 (2)「百姓」と客戸の制度化 四 おわりに 第二章 唐の「百姓」 身分・補論 一 はじめに 二 前稿に対する批判をめぐって 三 「百姓」の特殊化および多義化の傾向 四 おわりに 第三章 唐代「百姓」身分に関する諸問題 一 はじめに 二 「良人百姓」「百姓良口」なる語について 三 「長流百姓」について 四 陳子昂の文に見える百姓 五 「常住百姓」と「郷司百姓」 六 おわりに 第四章 唐の部曲客女身分に関する一考察 ――ペリオ漢文文書三六〇八号の理解にむけて 一 はじめに 二 良賤制における部曲客女の占める位置 (1)部曲客女身分の成立とその補填のなされかた (2)部曲客女のもつ「抽象的」側面 三 敦煌発見則天時代の律断簡について 四 おわりに 第五章 唐の部曲の性格をめぐる議論と問題点 一 はじめに 二 宮崎氏の中国中世に関する議論の枠組み 三 部曲=農奴説としての宮崎氏の部曲像の検討 四 おわりに 第六章 唐代の奴婢売買と市券 一 はじめに 二 唐の奴婢売買文書をめぐる従来の状況 三 近年発見の二通の唐代奴婢売買文書 四 市券に関する若干の問題 第七章 唐代の雇傭人問題に関する一、二の点について 一 日本における唐代雇傭人研究 二 唐法上における雇傭人の位置づけ 三 雇傭関係の展開と奴隷制 第二部 唐前半期における「百姓」の存在条件 第一章 唐前半期における鄰保とその機能――いわゆる攤逃の弊を手がかりとして 一 はじめに 二 唐の地方行政組織規定における鄰保 三 唐の鄰保とその機能 (1)いわゆる「鄰保代済の法」に関して (2)鄰保の結合のあり方と徴税機能 (3)鄰保の徴税機能――性格と変遷 四 おわりに 第二章 唐代均田制下の百姓田売買について 一 はじめに 二 唐の均田制と百姓田売買 (1)従来の諸説について (2)百姓田売買と唐戸婚律・売口分田条 (3)百姓田売買に関わる唐田令について 三 百姓の移動と百姓田売買 四 おわりに 第三章 唐代前半期の括戸政策といわゆる楽遷規定 一 はじめに 二 いわゆる楽遷規定と李嶠の括戸政策 三 「殷富者令還、貧弱者令住」の原則と宇文融の括戸政策 四 おわりに 第四章 唐食実封制に於ける所謂“七丁封戸”の問題について 一 はじめに 二 所謂“七丁封戸”に関わる資料と諸見解 三 所謂“七丁封戸”に関わる資料の分析 四 おわりに 第五章 唐朝前半期における食実封制について 一 はじめに 二 唐朝前半期における食実封制の展開と封戸の身分 (1)高宗朝中・晩期以前の食実封制 (2)極盛期の食実封制と封戸の身分 三 封戸及びその母体たる「百姓」について 四 おわりに あとがき 索引