森林の放射線生態学~福島の森を考える~
橋本 昌司, 小松 雅史, 三浦 覚 著
内容
目次
森林の放射線生態学 目次 第1章 放出された放射性物質 1.1 放射性物質はどのように飛散したのか? 1.2 福島にある森林の特徴 1.3 森林生態系は農地とは異なる独特の生態系 第2章 放射能汚染を理解するための基礎的な知識 2.1 放射線、放射能、放射性物質の意味 2.2 外部被ばくと内部被ばく 2.3 ベクレル(Bq)とシーベルト(Sv):放射能と被ばく線量の単位 第3章 森林の中での放射性セシウムの動き 3.1 はじめに二つのセシウムの話:セシウム134とセシウム137 3.2 事故後初期の放射性セシウムの大きな分布変化 森林に降った放射性セシウムの多くは最初は枝葉に捕らえられた/その後は落葉や雨で林床へと移動/落葉層には長居しない 3.3 土壌中の放射性セシウム 放射性セシウムの大部分は鉱質土壌の表層に留まる/なぜ土壌表層に留まるのか/土壌動物や菌類によるセシウムの移動 3.4 樹体内への放射性セシウムの移行 樹体内の放射性セシウムの動き/移行係数:樹種によって木材の濃度が異なる 3.5 森林外への放射性セシウムの移動 森林からほとんど出て行かない/森林火災によるセシウムの再飛散はわずか 3.6 森林の放射性セシウムの将来分布を予測する コンピュータシミュレーションで再現、そして予測/空間線量率の将来予測/予測結果とどう向き合うべきか? 3.7 森林の中での放射性セシウムの動きをまとめると 第4章 森林生態系と放射能汚染 4.1 放射性セシウムと森林の物質循環 4.2 食物連鎖の中の放射性セシウム ミミズのセシウム濃度は落ち葉のセシウム濃度より低い/食物連鎖による生物濃縮は起きていない/大型野生動物に取り込まれる放射性セシウム/菌類と放射性セシウム 4.3 福島の原発事故による森林生態系への影響 生物への放射線影響/人間活動なき森林生態系 4.4 グローバルフォールアウト:セシウム137は半世紀前か ら森林生態系の中に入っていた グローバルフォールアウトとは/放射性セシウムを用いて森林内の物質の動きを追尾する 第5章 放射線防護と基準値 5.1 国際的に合意されている国際放射線防護委員会(ICRP)による放射線防護の考え方 5.2 森林における放射線防護の考え方 5.3 汚染地域での対策:国際原子力機関(IAEA)の考え方 5.4 基準値の考え方 空間線量率の基準となる値/食品の基準値─100 Bq/kgの理由/ 8,000 Bq/kg:廃棄物の基準値 第6章 森林の放射能汚染が生活に及ぼす影響 6.1 空間線量率の増加による影響 森林内の空間線量率の特徴/空間線量率に基づく立ち入り制限/森林除染 6.2 木材に関わる規制とその影響 木材に関わる規制 /統計から読み解く林業が受けた影響/汚染された森林の活用 6.3 野生動物の放射能汚染 大型野生動物の個体数は全国的に増えている/濃度傾向について/対策:全頭検査と個体数調整 6.4 野生きのこ・山菜のセシウム汚染 森の恵みが地域社会で持つ価値/野生きのこの放射能汚染/山菜の放射能汚染/地域住民の余暇活動に及ぼした影響/調理による山菜の放射性セシウム濃度の低減化 6.5 栽培きのこ 栽培きのこは重要な産業/原木とシイタケの汚染/原木栽培用広葉樹の汚染と産業への影響/シイタケへの放射性セシウムの移行メカニズム/栽培きのこの汚染対策 6.6 住民への情報提供 第7章 福島の森林の今後 7.1 森林の放射能汚染のポイント 7.2 汚染状況を理解し対処するための目安 7.3 今後の対策は 7.4 研究者に残された課題 7.5 同様の事故のとき、研究者は何をすべきか 7.6 未来へ向けて あとがき/引用文献/リンク集/索引