行政裁量と衡量原則(学術選書 行政法 198)
海老沢 俊郎 著
内容
目次
『行政裁量と衡量原則(学術選書198)』 海老澤俊郎 著 【目 次】 はしがき ◇第1編 行 政 裁 量◇ 序章 は じ め に 1 問 題 設 定 2 議論の概観 第1章 ドイツ裁量論の歴史的な展開 Ⅰ 裁量論の展開(特に行政と司法の本質論との関連で) 1 公権力行使の実定法的拘束の対立物としての裁量 2 実定法の文言への限定 3 行政と裁判の本質論 4 不確定法概念論史の概観 Ⅱ 裁量瑕疵論の歴史 1 プロイセン一般州法典 2 勤務法上の違反としての裁量瑕疵論 3 フランス法をモデルとした裁量瑕疵論 4 管轄権または権能の踰越に対する制限としての目的拘束 5 決定手続における瑕疵としての裁量権の踰越 6 裁量瑕疵論の要約 第2章 基本法の下での裁量論の転換 Ⅰ 基本法の下での行政裁判権(個人の権利保護の体系としての行政裁判権) 1 客観的法保護 2 主観的法保護 3 裁量論との関連からみた基本法上の行政裁判権 Ⅱ 行政法規範構造の特徴(特にフランス法との比較で) 1 ドイツ法について 2 フランス法について Ⅲ 行政裁量論の転換 1 法治国における裁判と行政 2 法治主義と裁量 第3章 行政裁量の態様 Ⅰ 裁 量 概 念 1 裁量概念の概要 2 行政の本質論と裁量論 3 裁量権の種類 4 統 一 理 論 5 覊束裁量という概念について Ⅱ 裁量権の限界 1 一般的説明 2 裁量権の不行使 3 裁量権の踰越 4 裁量権の誤用 5 裁量瑕疵を 1つに縮減する議論 6 裁量権行使に際しての考慮事項の追完と補充 第4章 判断余地の理論 Ⅰ 判断余地論の展開 1 判断余地論の前提 2 1950年代初頭までの議論 3 ロイスの不確定法概念論 Ⅱ 判断余地論 1 バホフの議論 2 代替可能性論 3 判断余地論の要約と展開 Ⅲ 判断余地の限界 第5章 規範的授権論 Ⅰ 規範的授権論の前提 1 は じ め に 2 判断余地論から規範的授権論への展開 3 意味論的不確定性 Ⅱ 規範的授権論 1 規範的授権論の概要 2 規範的授権論における行政の判断余地(判断授権) 3 規範的授権論の問題点 4 概念思考から決定思考への転換 5 最終的決定についての行政に対する授権 Ⅲ 判断余地(判断授権)論が適用される領域 1 試験での決定 2 訓令から独立した合議体の決定 3 予 測 概 念 4 受 容 概 念 5 技 術 条 項 Ⅳ 環境法と技術法における規範具体化権能 1 問題の所在 2 判例法による展開 3 判断授権と行政規則 4 判例による規範具体化権能(授権領域の拡大) Ⅴ リスク決定と判断余地理論 1 リスク概念について 2 リスク概念研究の紹介 3 法律の制御力の喪失 補章(裁量論における合目的性の地位と行政留保) Ⅰ 裁量論における合目的性の地位 1 合目的性の議論の歴史的背景 2 現時点での合目的性の位置づけの試み 3 区別の困難さ 4 合目的性の規範化 5 合目的性と権利保護の関係 Ⅱ 行政の留保 1 行政留保論とその例示 2 「行政留保」の検討 ◇第2編 衡 量 原 則◇ 第1章 議論の前提 Ⅰ 検討対象について 1 序 2 行 政 計 画 3 特定部門計画のいくつかの特色 4 建設管理計画と特定部門計画の比較 5 特定部門計画の特色 Ⅱ 計画裁量について 1 行政裁判所の判例 2 学説における計画裁量論 3 批 判 論 4 現時点での批判論 第2章 連邦行政裁判所の判例による衡量原則 Ⅰ 衡量原則の概要 1 決定発見のための手続としての衡量 2 衡量原則の憲法上の地位 3 計画における衡量原則の特殊性 4 計画裁量に対する枠としての衡量原則 Ⅱ 連邦行政裁判所の判例 1 判例法による衡量原則の成立 2 利益の意味 3 衡量の義務(裁量瑕疵論との関連を含む) 第3章 決定方式としての衡量の構造 Ⅰ 衡量の段階の概要 Ⅱ 衡量の段階の詳細な説明 1 利益の調査(第1段階) 2 衡量の中に利益を挿入する過程(第2段階) 3 利益についての重要性の判定(第3段階) 4 計画の決定(第4段階) Ⅲ 衡量の段階に関する議論(特に計画裁量の所在について) 1 利益の調査と挿入 2 重要性の判定と調整 第4章 法律規範と衡量の関係 Ⅰ 法原理と法準則の区別 1 法原理と法準則 2 厳格な規範と衡量の指示 Ⅱ 不文の法原則と衡量 1 配 慮 原 則 2 紛争解決原則 3 計画の正当化 第5章 衡量の過程と結果の概念 Ⅰ 衡量の統制対象についての議論 1 連邦行政裁判所の判例 2 判例に対する学説の批判 Ⅱ 過程の統制と結果の統制 1 衡量の結果について 2 衡量の過程について 3 衡量の過程における瑕疵の明白性と衡量の結果に対する影響 第6章 建設法典改正法における衡量原則の取扱い Ⅰ 改正法の経緯 1 計画維持の概念 2 瑕疵に対する計画の脆弱性 3 2004年改正法までの立法状況 4 改正法の概要 5 専門家委員会報告書 6 連邦政府草案 Ⅱ 新しい法律のいくつかの問題点 1 実体的意味の衡量原則は変更されたのか 2 衡量原則から手続規定への転換の可否 3 衡量資料の調査および評価の手続と衡量原則 Ⅲ 改正法における規定の説明 1 調査の瑕疵 2 評価の瑕疵 3 改正法における利益の調整の取扱い 結論と展望(日本法への提言も含めて) 事 項 索 引