内容
本書は、ルベーグ積分の理論の基礎を詳解したものである。全体像を把握する助けとなるように、導入する概念や定義の意味合い、理論の根幹について、初学者にも配慮した丁寧な解説を行った。また、さまざまな例や演習問題によって理解を深める構成となっている。
ルベーグ積分論は緻密に構築されており、全容を掴むのは容易でない。また、規定の理論展開を少し外れた際に主張が成立するかどうかを知るのがしばしば難しい。本書では、概念の導入や証明方法について吟味し、自然な流れで読み進めていけるように工夫を凝らした。さらに、理論の習得をサポートする補足説明や反例の紹介を充実させ、初読の際に理解を妨げそうな数学的記述などについても詳しい説明を付けることで学修の便を図った。あわせて、入門書の枠に留まらないようなやや発展的な注釈も各所に記載することで、深い理解に向けての一助とするだけでなく、ルベーグ積分論を既習の方にも新たな知見が得られるように意図している。
ルベーグ積分論を初めて学ぶ人にとっても、他書で一通り学んだが改めて理論体系を俯瞰したい人にとっても適した一冊。