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フォルモサ・イデオロギー~台湾ナショナリズムの勃興1895-1945~

呉叡人  著

梅森直之, 山本和行  翻訳
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価格 \6,050(税込)         
発行年月 2023年10月
出版社/提供元
みすず書房
言語 日本語
媒体 冊子
ページ数/巻数 536p
大きさ 20cm
ジャンル 和書/社会科学/政治学/政治思想史・政治理論
ISBN 9784622096498
商品コード 1037114025
NDC分類 311.2224
基本件名 政治思想-台湾
本の性格 学術書
新刊案内掲載月 2023年12月2週
書評掲載誌 朝日新聞 2024/02/03、毎日新聞 2024/03/09
商品URLhttps://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1037114025

著者紹介

呉叡人(著者):(ご・えいじん / Wu Rwei-ren)1962年台湾桃園生まれ。国立台湾大学政治系卒、シカゴ大学政治学博士。専門は比較史的な歴史分析、思想史、文学。現在、中央研究院台湾史研究所副研究員。著書に『台湾、あるいは孤立無援の島の思想――民主主義とナショナリズムのディレンマを越えて』(駒込武訳、みすず書房、2021)、訳書にベネディクト・アンダーソン『想像の共同体』の中国語版《想像的共同体》(台北:時報文化、1999)がある。*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
梅森直之(翻訳):(うめもり・なおゆき)1962年広島県呉市生まれ。1985年早稲田大学政治経済学部卒。シカゴ大学政治学博士。早稲田大学政治経済学部助手、専任講師、助教授を経て、現在、早稲田大学政治経済学術院教授。専門は日本政治思想史。著書に『初期社会主義の地形学(トポグラフィー)――大杉栄とその時代』(有志舎、2016)、共編著に『和解学の試み――記憶・感情・価値』(明石書店、2021)、『ベネディクト・アンダーソン グローバリゼーションを語る』(光文社新書、2007)など。*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
山本和行(翻訳):(やまもと・かずゆき)1977年生まれ。天理大学国際文化学部中国学科、京都大学大学院教育学研究科修士課程、同博士後期課程。博士(教育学)。現在、天理大学国際学部外国語学科中国語専攻教授。著書に『自由・平等・植民地性――台湾における植民地教育制度の形成』(台北:国立台湾大学出版中心、2015)。*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

内容

17世紀以来の漢族系移民の入植地であり、清帝国の省であった台湾は、日清戦争後に日本へ割譲され、51年にわたりその植民地支配下に置かれた。本書は、植民地台湾において、ナショナリストたちがいかにしてその空間を自らのネーションとして想像するにいたったのか、それがなぜ祖国復帰を目指す中国ナショナリズムではなく「台湾ナショナリズム」として発展したのかを、その領域的基盤の形成とイデオロギー形成の両面から論じるものである。
日本の植民地主義は、地理的、人種的、文化的に近接する人々を支配し、国民的共同体に従属的に包摂することを目指すものであった。西洋への反動として生じた明治以来の日本の国民国家形成の延長であったそれは、西洋によって再び植民地化されることへの恐怖に囚われていたがために、植民地臣民に同化を迫りつつも、差異を保ち、自らの優越性を維持する必要があった。それは、類似性と差異性を恣意的に操作し、周縁の人々を東洋化することで自らの東洋化に抗う〈東洋的植民地主義(オリエンタル・コロニアリズム)〉であった。
しかし台湾人をして「弱小民族」としての共通の運命を自覚せしめ、台湾を一個のネーションとして想像させたのは、日本の両義的で差別的な包摂にほかならなかった。1920年代に生じた自決的民族の想像は、その後の反植民地闘争や台湾人内部での論争を通じて、洗練された〈フォルモサ・イデオロギー〉として分節化されていった。
台湾ナショナリズムの原点を探る、著者の里程標的論考。

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