愚管抄の周縁と行間(研究叢書 565)
尾崎 勇 著
内容
目次
第Ⅰ部 概説 第一章 『治承物語』の性格 はじめに (一)四天王寺と西山の空間とのつながり (二)此岸の四天王寺と彼岸の西山の往生院 (三)『愚管抄』と怨霊 おわりに 第二章 『吾妻鏡』と『愚管抄』 (一)源頼朝の鎧 (二)経俊と蓮生そして乳母 (三)日胤の霊夢と『平家物語』 (四)「見立て」の修辞 補論 「トカヤ」からパロディーへ 第三章 藤原成親像の仕組み はじめに (一)キーパーソンとしての静賢 (二)『愚管抄』の「コレハ一定ノ説ハ知ネドモ」をめぐって (三)「句」と「話素」 (四)多田蔵人行綱の密告 (五)執政の「臣」の道長と安和の変 おわりに 第四章 今様をうたう徳大寺実定の意味 はじめに (一)徳大寺実定の登場の仕方 (二)西山の「壇越」としての徳大寺家 (三)慈円と今様の特性 (四)『林下集』の俊成歌から慈円の道理史観へ (五)徳大寺実定と源頼朝そして東国の武士 (六)今様の蔓延とアンビバレンス おわりに 補論 慈円圏と青侍の「夢」をめぐる物語 第五章 梶原景時の頼朝救済の説話をめぐって はじめに (一)源頼朝と梶原景時 (二)歌人としての慈円から (三)物語創出の西山の空間 おわりに 第六章 源頼朝の札所の善峯寺への巡礼 はじめに―源頼朝の観音信仰― (一)南都復興から興福寺南円堂の不空羂策観音像の制作へ (二)歌人慈円の視座から頼朝との交わり (三)札所の善峯寺への巡礼と大姫の病 (四)札所の興福寺南円堂と九条家の命運 (五)西山の慈円圏と頼朝が滞在した六波羅の空間 おわりに―「冥顕二法」の道理― 第Ⅱ部 概説 第七章 『栄花物語』を起点として はじめに―「世継物語」としての原『平家物語』― (一)編纂された原『平家物語』の『治承物語』 (二)慈円圏で創出した『治承物語』の新古今的ということ (三)『栄花物語』受容から定家へ (四)オマージュとして受容した『栄花物語』 おわりに 第八章 編纂の視点 (一)編纂をめぐって―問題の所在― (二)慈円と定家 (三)定家の歌論から原『平家物語』の『治承物語』へ (四)物語作者としての定家の資質 (五)定家の紀行から『松浦宮物語』そして平家一門都落ち (六)「あそび心」をめぐって (七)『言泉集』・『熊野道之愚記』・『建礼門院右京大夫集』 (八)熊野別当湛増の虚実と藤原俊成 (九)霊夢から宇都宮入道蓮生そして慈円圏へ (十)編纂された「頼朝の物語」から慈円周辺圏へ (十一)藤の花と藤原定家―結びにかえて― 補論 九条家の家司の「前下野守行長」をめぐって 第九章 アンビバレンスと慈円圏 アンビバレンスということ―問題の所在― (一)九条家の家司としての定家 (二)『治承物語』の特質 (三)『方丈記』と『明月記』 (四)頼朝の観音信仰と大姫入内 (五)「冥顕二法」の道理と頼朝の「武」 (六)『新古今和歌集』から末代の道理へ 「文」と「武」―結びにかえて― 第十章 宇治川先陣譚の時空 はじめに (一)『愚管抄』の道理から『将門記』の「世間の理」へ (二)物語の周辺 (三)『愚管抄』の「東国武士ハ夫マデモ」について (四)西山義と勧進そして宇治川の歌 (五)『平家物語』初期生成と『将門記』の受容―まとめ― 第十一章 小宰相の哀話 末代の道理から慈円周辺圏へ―序にかえて― (一)『治承物語』と六巻本『治承物語』 (二)上西門院統子から忠快そして定家へ (三)『建礼門院右京大夫集』を受容した『新勅撰和歌集』 (四)王朝文学の受容から「白」の色へ 小宰相の血脈と西山義の法脈そして定家へ―結びにかえて― 第十二章 『六代勝事記』の周辺 はじめに―『平家物語』成立から『六代勝事記』作者へ― (一)『勝事記』作者像について (二)『愚管抄』から『勝事記』へ (三)『愚管抄』の「ウルハシキ」から『勝事記』との相違へ (四)構成と方法 (五)『勝事記』作者と縁戚と法脈 (六)平重盛の形象をめぐって 定家の歌と『勝事記』―結びにかえて― 第十三章 仏法をめぐって はじめに―仏法王法相依の道理― (一)『治承物語』を摂取した『愚管抄』 (二)仏法と大衆 (三)『慈鎮和尚夢想記』から『愚管抄』へ (四)末代の道理から定家の兄弟の僧そして慈円周辺圏へ (五)「新儀非拠達磨歌」から「本説取り」へ おわりに 補章 行間ということ―本書のまとめとして― 引用本文一覧 初出稿一覧 後記