内容
本書は,できるだけ少ない予備知識で読めるように考慮されたp進解析の入門書である.
本書での取り扱いにおいて,p進解析のいくつかの基本的アイデア,すなわちQpの代数拡大へのp進絶対値の拡張,複素数体のp進類似の構成,p進べき級数の理論の展開などは,通常の解析学の身近な概念や例との対比が強調されている.また,教育上効果的でもありこの分野への関心を刺激するような顕著な応用である,ゼータ関数のp進的性質に関する久保田-レオポルトのp進ゼータ関数の理論や,合同ゼータ関数の有理性に関するドゥオークの定理なども提示されている.
p進解析は古典解析学を学んだばかりの学生にとって興味深い視点を提供してくれるのみならず,p進的手法が数論や表現論など数学的研究の多くの分野で重要な位置を占めている今日,代数と数論に足を踏み入れている学生に対しても,貴重な視点を提供するであろう.