内容
本書は,現代代数学の主要な一角への統一的なアプローチによる入門書である.
前半では,代数学を構成する群,環,ベクトル空間,体といった代数的構造の解説を短く区切って繰り返し見ていくことで,それらの間の類似性を認識し,構造を保つ写像の重要性を学ぶことができる.これらの主題に初めて出会う読者にも内容が把握しやすくなるよう工夫されている.
後半は群,環,ベクトル空間,体の4つの主題をより深く掘り下げ,加えて,加群やガロア理論を調べることにも当てられる.最終章では,関連する数学の基礎分野のほか,より専門的な主題や数理暗号のような応用分野までを縦横に解説しており,代数学の広大な世界への案内となっている.
楕円曲線論をはじめ数論の広い分野で活躍する原著者の自由闊達な語り口も本書の魅力である.さまざまな代数的構造をめぐりながら,それらがどのように組み合わさって代数学を形作るかについての広い視野を得られるだろう.