この1冊からはじめる肺聴診の手引き
内容
目次
【序文】 2023年5月に医療従事者の人員配置の報告職種に管理栄養士・栄養士が追加され,医療施設において高い専門知識を活かして患者を健康にすることがより一層求められるようになりました.臨床におけるこの数十年での病態解明・診断・治療の進歩は著しいものです.それらに対応した最新のエビデンスに基づいて,最良と思われる医療への支援として,20年ほど前より診療・治療ガイドラインが作成・改定されるようになりました.管理栄養士においてもそれぞれのガイドラインに沿ったEBN(evidence based nutrition)に基づいて栄養管理を実践することが求められています. 日常生活においては,ICT(information and communication technology)の急激な発展により,DX(デジタルトランスフォーメーション)としてオンライン・オンデマンドで世界中から,いつでも,あふれるほどの情報・知識を映像などで得ることができるようになりました.その弊害として,最近では管理栄養士を志す方々においても,以前と比べて長い文章を読んで知識を得ることに苦手意識を抱く方が増えていると日々感じています. このような時代に管理栄養士を志す方々にふさわしい臨床栄養学の教科書として,『これだけはおさえたい! 臨床栄養学テキスト』をこのたび刊行することとなりました.本テキストの特徴として, ・ 「管理栄養士養成のための栄養学教育モデル・コア・カリキュラム」に沿って,2023年改定の管理栄養士国家試験出題基準に準拠した内容となっている. ・ ミニマムエッセンスとして,なるべく文章は短く箇条書きを目指して記載している. ・ 医師と管理栄養士の分担執筆とし,各論の疾患項目1つずつに対して,病態の解説,栄養アセスメント,栄養ケアをバランスよく記載している. ・最新の診療ガイドライン指針に沿った診断・治療を掲載している. ・重要な語句はゴシック調で強調している. ・ 特に覚えておいてほしい内容やトピックスに関して,コラムや脇組イラスト,用語解説として多く取り入れている. などがあります.手に取った瞬間にかまえずに読みたいと感じる紙面としたこと,読みやすくて必要な知識を得られることに加えて,管理栄養士の資格取得後に,臨床栄養の場で働く際のテキストとしても役立つ教科書になったと自信をもっております.本書が管理栄養士を目指す多くの方々に少しでも貢献できることを祈念しております. 2025年1月吉日 編集者を代表して 保坂利男 【目次】 総 論 第1章 臨床栄養の概念 A 臨床栄養の意義と目的 B 栄養管理プロセス 1 栄養アセスメント(栄養状態の評価) 2 栄養診断(栄養状態の判定/PES 報告) 3 栄養介入(計画と実施) 4 栄養モニタリングと評価 C 医療と臨床栄養 1 医療倫理 2 クリニカルパスと栄養管理 3 チーム医療 4 リスクマネジメント 5 傷病者の権利 6 インフォームド・コンセント 第2章 NCPによる臨床栄養管理 A 栄養スクリーニング 1 栄養スクリーニングの種類 2 栄養スクリーニングの精度 B 栄養アセスメント 1 栄養アセスメントの指標(データ・徴候・症状など) 2 栄養アセスメントの具体的方法 C 栄養診断 1 栄養診断のコード・用語 D 栄養介入(計画と実施) 1 PES報告と栄養介入の計画の連動 2 栄養介入の計画の3項目 3 栄養介入の計画,栄養モニタリングと評価 第3章 栄養ケア計画と実施 A 栄養投与量の決定 1 エネルギー 2 たんぱく質 3 脂 質 4 炭水化物 5 ビタミン 6 ミネラル 7 水 分 B 栄養補給法の決定 C 栄養教育 1 課題の抽出と優先順位の決定 2 目標の設定 3 栄養ケアの時間と頻度を決定 D 多職種との連携 E モニタリングと再評価 1 モニタリング項目 2 栄養投与量の再評価と修正 3 栄養補給法の再評価と修正 F 栄養ケアの記録 1 栄養ケア記録の意義 2 問題志向型システム(POS)の概要 3 POMR 第4章 栄養・食事療法と栄養補給法 A 栄養・食事療法と栄養補給法の歴史と特徴 1 食事療法の変遷 2 栄養補給法 B 経口栄養法 1 一般治療食 2 特別治療食 C 経腸栄養法(経管栄養法) 1 経腸栄養アクセス 2 経腸栄養剤の種類と選択 3 経腸栄養法による合併症およびその対策 D 静脈栄養法 1 末梢静脈栄養法(PPN) 2 中心静脈栄養法(TPN) 3 静脈栄養法による合併症およびその対策 第5章 薬と栄養・食事の相互作用 A 栄養・食事・食品が医薬品に及ぼす影響 1 食事や食品が薬の吸収や代謝(体内動態)に及ぼす影響 2 食品が薬の効果に及ぼす影響 B 医薬品が栄養・食事に及ぼす影響 1 薬が食物摂取・食事に及ぼす影響 2 薬が栄養に及ぼす影響 C そのほか薬に関連する事項 1 糖尿病など生活習慣病に対する主な治療薬 第6章 傷病者,要支援者,要介護者への栄養教育 A 傷病者への栄養教育:外来,入院,退院,在宅ケア 1 外来および入院時栄養食事指導 2 診療報酬における個別および集団の栄養食事指導 3 退院支援 4 在宅患者訪問栄養食事指導 B 要支援者・要介護者への栄養教育:施設,居宅 1 施設入所サービス 2 居宅サービス 3 食事サービスを通した栄養教育 4 地域包括ケアシステム 各 論 *第7章以降のA,B,C…の各項目は,原則,「1.疾患の概要」,「2.栄養アセスメント」,「3 .栄養ケア」の構成とした. *執筆者名の後ろのカッコ書きの数字は,「1.疾患の概要」,「2.栄養アセスメント」,「3.栄養ケア」と対応している. *各章の冒頭の解説文は「1.疾患の概要」の執筆者が担当. 第7章 栄養障害 A たんぱく質・エネルギー栄養障害(PEM),栄養失調症 B ビタミン欠乏症・過剰症 C ミネラル欠乏症・過剰症 第8章 肥満と代謝疾患 A 肥満,メタボリックシンドローム B 糖尿病 C 脂質異常症 D 高尿酸血症,痛風 第9章 消化器疾患 A 口内炎,舌炎 B 胃食道逆流症 C 胃潰瘍,十二指腸潰瘍 D 蛋白漏出性胃腸症 E 炎症性腸疾患;クローン病,潰瘍性大腸炎 F 過敏性腸症候群 G 便 秘 H 肝 炎 I 肝硬変 J 代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD),脂肪肝 K 胆石症,胆囊炎 L 膵 炎 第10章 循環器疾患 A 高血圧 B 動脈硬化症 C 狭心症・心筋梗塞 D 心不全 E 不整脈;心房細動,心室細動,心室頻拍 F 脳出血,脳梗塞,くも膜下出血 第11章 腎・尿路疾患 A 急性・慢性糸球体腎炎 B ネフローゼ症候群 C 急性・慢性腎不全 D 糖尿病性腎症 E 慢性腎臓病(CKD) F 尿路結石症 G 血液透析,腹膜透析 第12章 内分泌疾患 A 甲状腺機能亢進症・低下症 B クッシング病,クッシング症候群 第13章 神経疾患 A 認知症 B パーキンソン病,パーキンソン症候群 第14章 摂食障害 A 神経性やせ症(神経性食欲不振症) B 神経性大食症 第15章 呼吸器疾患 A COPD(慢性閉塞性肺疾患) B 気管支喘息 C 肺 炎 第16章 血液系の疾患・病態 A 貧 血 B 出血性疾患 C 血液悪性疾患と骨髄移植 第17章 筋・骨格疾患 A 骨粗鬆症 B 骨軟化症,くる病 C 変形性関節症 D サルコペニア E ロコモティブシンドローム 第18章 免疫・アレルギー疾患 A 食物アレルギー B 膠原病,自己免疫疾患 C 免疫不全 第19章 感染症 A 病原微生物 B 敗血症 C 院内感染症 第20章 が ん A 消化管の癌;食道,胃,大腸 B 消化管以外の癌;肺,肝,膵 C 化学療法,放射線治療,緩和ケア D 終末期医療(ターミナルケア) 第21章 手術,周術期 A 術前,術後 B 胃,食道 C 小腸,大腸 D 消化管以外の術前,術後 第22章 クリティカルケア A 外 傷 B 熱 傷 第23章 摂食機能障害 A 咀嚼・嚥下障害 B 口腔・食道障害 C 消化管通過障害 第24章 身体・知的障害 A 身体障害 B 知的障害 C 精神障害 第25章 乳幼児・小児疾患 A 消化不良症 B 周期性嘔吐症 C 小児肥満 D 先天性代謝異常 E 小児糖尿病 F 腎疾患 第26章 妊産婦・授乳婦疾患 A 妊娠糖尿病,糖尿病合併妊娠 B 妊娠高血圧症候群 第27章 老年症候群 A 誤嚥,転倒,失禁,褥瘡 B フレイル 索 引 column NCPの導入 管理栄養士・栄養士の倫理綱領 管理栄養士やチーム医療による栄養管理に関する診療報酬 リスクマネジメント NCP実践の7つのStep 過少報告と過大報告 小児期の肥満 行動療法 超低エネルギー食(VLCD) インスリン療法 強化インスリン療法 自己血糖測定(SMBG) 血糖値スパイク カーボカウント グリセミック・インデックス(GI),グリセミック・ロード(GL) トランス脂肪酸 尿酸の産生と排泄 アルコール摂取と尿酸値 歯周病 バレット食道 プレバイオティクス フィッシャー比(BCAA/AAA 比) BCAA製剤(分枝アミノ酸製剤) LES食 1日の飲酒量と膵炎の発症リスクの関係 診察室血圧と家庭血圧 白衣高血圧と仮面高血圧 前方障害/後方障害と前負荷/後負荷 原発性アルドステロン症 リフィーディングシンドローム 誤嚥性肺炎 まさか食欲不振の症状で……!? 骨代謝マーカー 中鎖脂肪酸(MCT) 新型コロナウイルス感染症 PCR 集学的治療 ERAS(術後回復強化) オーラルフレイル 球麻痺 アカラシア 胃瘻,腸瘻の使い分け 発達障害 特殊ミルク 糖尿病サマーキャンプ 食塩制限 つわり 多剤薬物療法