内容
江戸知識人の教養と、軽妙洒脱な美的センスの結晶四作品を収録。
江戸時代は長い戦乱の世が終わって、太平の世の中となり、その結果、様々な文芸ジャンルが一斉に花開いた時期です。中でも、日本の古典を研究する学問、国学も多様な形式を採りながら、深化、発展しました。ここに収録しました『貞徳翁の記』は松永貞徳が細川幽斎のもとで学んだことを記録したものです。『紫の一本』は二人の隠者が、江戸中を巡り歩き、古典を題材に軽妙洒脱にやり取りをします。『排櫨小船(あしわけぶね)』は若き日の本居宣長が、自らの和歌観を率直に吐露したのもで、宣長学の出発点を示す処女作として貴重であり、のちの宣長歌学全体を示唆する作品です。『しりうごと』は、いわゆる学者評判記で、学者仲間の内幕を暴露し合う、悪口、陰口のオンパレードです。