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悪魔の細菌~超多剤耐性菌から夫を救った科学者の戦い~
ステファニー・ストラスディー,
トーマス・パターソン,
テレサ・H・バーカー
著
坪子理美
翻訳
発行年月 |
2021年02月 |
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言語 |
日本語 |
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媒体 |
冊子 |
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ページ数/巻数 |
421p |
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大きさ |
20cm |
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ジャンル |
和書/人文科学/文学/イギリス文学 |
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ISBN |
9784120054037 |
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商品コード |
1032718762 |
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NDC分類 |
936 |
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本の性格 |
学生用 |
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新刊案内掲載月 |
2021年04月1週 |
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商品URL
| https://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1032718762 |
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著者紹介
ステファニー・ストラスディー(著者):公衆衛生学者、疫学者。米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部教授。本書の題材となったファージ療法の考案経験から、現在、同大学で「革新的ファージ応用・治療研究センター」の長を務める。『タイム』誌により「ヘルスケアにおいて最も影響力の大きい人物50 名」に選出。
トーマス・パターソン(著者):進化社会学者、心理学者。米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校精神医学科教授。貧困地域等でのフィールドワークにより、エイズウィルスへの感染リスクを高める行動を明らかにした。統合失調症患者の生活機能を評価する国際的基準を確立し、二十六の言語に翻訳される。本書の執筆においては、闘病中の回想部を担当。
テレサ・H・バーカー(著者):ジャーナリスト。医師・研究者らのインタビューや、専門家との共著による書籍執筆を得意とする。共著を担当したノンフィクション書は『ニューヨーク・タイムズ』紙等で高い評価を受けており、ウォールストリートジャーナル紙で「今年のノンフィクション書10 選」に選ばれた実績を持つ。
坪子理美(翻訳):1986年栃木県生まれ。翻訳者。博士(理学)。東京大学理学部生物学科卒業、同大学院理学系研究科生物科学専攻博士課程修了。 東京大学ライフイノベーション・リーディング大学院修了。訳書に『なぜ科学はストーリーを必要としているのか--ハリウッドに学んだ伝える技術』(ランディ・オルソン著、慶應義塾大学出版会)、『性と愛の脳科学--新たな愛の物語』(ラリー・ヤング、ブライアン・アレグザンダー著、中央公論新社)等。『自閉症遺伝子--見つからない遺伝子をめぐって』(ベルトラン・ジョルダン著、中央公論新社)の解説を担当。
内容
か弱い細菌ごときの策略に引っかかるなんて、思ってもみなかった。
私は大陸を股にかけて殺人ウイルスを追跡し、AIDSに対する戦争を仕掛けてきた。ある時は戦いの最前線に立ち、ある時は世界規模での政策立案に携わる人々と議論のテーブルを囲みながら。そう、ウイルスは恐るべき存在だった。では、細菌は? 大した敵ではない。少なくとも、この細菌は恐れるに値しない相手のはずだった。
私は感染症を専門とする疫学者だ。アメリカの大きな大学で国際保健研究所の所長も務めている。他の誰でもなく私こそ、この細菌から自分の夫を守ることができてしかるべきだった。最後にこの細菌を見たのは、大学院に入る前の学部生時代のことだ。私たち学生は、研究室での初歩的な実験で、この細菌を気軽に扱っていた。いつの日か、この細菌の変異体がお前たちを死の淵に追いやり、お前はそのうち、殺し屋ウイルスの大群を注射して夫を救おうとする……。当時、誰かにそう言われていたら、私は相手の頭がおかしくなったのかと思っただろう。だが今、私たちはまさにその言葉通りの状況を迎えていた。 ――本書より